研究領域 | 宇宙の歴史をひもとく地下素粒子原子核研究 |
研究課題/領域番号 |
26104002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 邦雄 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 教授 (10242166)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 二重ベータ崩壊 / マヨラナニュートリノ / 宇宙物質優勢 / 極低放射能 / 地球ニュートリノ |
研究実績の概要 |
1.ニュートリノレス二重ベータ崩壊(0ν2β)探索において、純化の成功により、Xe-136の0ν2β半減期に対して90%の信頼度で2.6×10^25年以上(暫定結果として国際会議で発表)という制限を得て、マヨラナ有効質量に対しては140~280meV以下という世界最高感度のさらなる向上を実現した。純化後データの蓄積による感度向上で、単独でのKKクレイムの検証、100meVを切る感度の達成が見込まれている。また、詳細な時間較正による位置分解能の向上も感度向上に貢献する。 2.さらなる改良のために、キセノン導入量を383kgから約650kgに増量する準備を進め、ミニバルーン再製作のためのスーパークリーンルームの準備、関連する外水槽改修工事の準備などを計画通りに進めた。 3.革新的測定技術開発として、(1)エネルギー分解能の向上のための集光ミラー開発において、設置時の自由度を高める変形性の確保、(2)広視野・広被写界深度・大開口光学系の設計において、ミラー型とレンズ型双方でのミュー粒子撮像に成功、(3)高発光・高引火点液体シンチレータにおいて、蒸留に頼らない吸着剤による純化方法の開発、(4)シンチレーションフィルムの開発において、α線による表面汚染測定装置の設計、(5)高量子効率光センサーの開発において、磁場の影響や受光位置や角度に対する特性研究、を実施した。 4.並行して、原子炉停止時の好環境での地球ニュートリノ観測データを蓄積し、統計精度の改善がなされた。また、地殻の寄与をより詳細に計算するためのタスクフォースを岩石学者・地震学者・地球物理学者・地質学者らと連携して立ち上げ、地球ニュートリノ観測結果と地球モデルとのより詳細な比較に備えている。 5.ステライルニュートリノ探索のための反ニュートリノ源の設計を進め、空洞内の放射化など詳細なシミュレーションを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度計画としていた、a)純化後のデータ蓄積、原子炉停止中のデータ蓄積、b)大型化のためのキセノン調達、c)外水槽改修の準備、d)ニュートリノ源の詳細設計、e)発光フィルムの開発、HQE-PMTの開発、f)クリーン環境の整備、g)外水槽PMTの最適配置設計、を全て達成し、さらに、解析手法の改良による高感度化、撮像のための光学系の開発、液体シンチレータの純化手法の開発、地殻モデルの高精度化で進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
キセノン量の増加による高感度化を実現するため、クリーンミニバルーンの製作、古くなり故障が目立つ機器の安定稼働に努め、次のマイルストーンである100meVを切る感度を実現し、さらに世界の次世代プロジェクトが目標とする逆階層構造に切り込む感度を実現する。 並行して、革新的技術の涵養、物理目標の多様化、装置活用の拡大を推進し、地下素粒子原子核研究を大いに展開する。
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備考 |
ホームページ:http://www.awa.tohoku.ac.jp/kamland/
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