低バックグラウンド技術を応用した方向感度をもつ暗黒物質探索の基礎研究

2015 年度 実績報告書

• 研究領域: 宇宙の歴史をひもとく地下素粒子原子核研究
• 研究課題/領域番号: 26104005
• 研究機関: 神戸大学
• 研究代表者: 身内 賢太朗 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80362440)
• 研究分担者: 中 竜大 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00608888) ; 田中 雅士 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (30545497)
• 研究期間 (年度): 2014-07-10 – 2019-03-31
• キーワード: 暗黒物質 / 地下実験

研究実績の概要

本研究では、方向に感度を持つ暗黒物質研究の為の低バックグラウンド(BG)化による基礎研究を総合的に行う。ガスを用いた高精度な手法（SD探索、SI探索）、相補的である原子核乾板を使用した大質量検出器の開発を合わせて研究を進めることで国内技術を結集、当該分野で世界をリードしてゆく。
①（SD探索）ガスを用いた方向に感度をもつ暗黒物質探索実験は、スピンに依存した探索(SD探索)においてガス検出器μPICを用いた研究が進んでいる。平成27年度は低バックグラウンド材料を用いたμPICの試作を行うという計画を立て、実際に10㎝角μPICの製作に成功した。
②(SI探索)ガスを用いた方向に感度をもつ暗黒物質探索実験において、スピンに依存しない探索(SI探索)は、性質のよいガスがないため、SD探索と比較して遅れている。アルゴンガスを用いた検出器試験を行うという計画を立て、暗黒物質探索実験で必要となる低圧力での動作確認、電子拡散などの測定をおこなった。
③(大質量探索)原子核乾板を用いた暗黒物質探索実験は、質量を稼げるという長所がある。平成27年度には14Cを含めた総合的なバックグラウンドの評価を行い、検出器の低バックグラウンド化を進めた。またグランサッソ研究所へ実験提案文書を提出、地下実験の準備を開始した。
これまでの本計画研究主催の若手研究会を通じて、地下環境での中性子バックグラウンド測定が領域全体に資する重要な測定となることが分かった。田中を中心として中性子バックグラウンドの測定、系統的な理解へ向けての研究を開始した。

現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

実績の概要に記した通り、3つの計画とも計画通りに研究が進んでいる。平成27年度は、中性子バックグラウンドの測定という新しい進展があったために(1)とした。

今後の研究の推進方策

今後とも研究分担者との連携を密にして、計画通り研究を進める。

研究成果

• [国際共同研究] INFN/LNGS/ナポリ大/ローマ大(イタリア)
  • 国名: イタリア
  • 外国機関名: INFN/LNGS/ナポリ大/ローマ大
  • 他の機関数: 2
• [国際共同研究] METU(トルコ)
  • 国名: トルコ
  • 外国機関名: METU
• [国際共同研究] JINR(ロシア連邦)
  • 国名: ロシア連邦
  • 外国機関名: JINR
• [国際共同研究] シェフィールド大(英国)
  • 国名: 英国
  • 外国機関名: シェフィールド大
• [国際共同研究] ハワイ大/オクシデンタル大/ウィーズリー大(米国)
  • 国名: 米国
  • 外国機関名: ハワイ大/オクシデンタル大/ウィーズリー大
• [雑誌論文] Intrinsic neutron background of nuclear emulsions for directional Dark Matter searches (2016)
  • 著者名/発表者名: A. Alexandrov, ... , T. Naka(全27人中20番目), ...
  • 雑誌名: Astroparticle Physics 巻: 80 ページ: 16-21
  • DOI: doi:10.1016/j.astropartphys.2016.03.003
  • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] 原子核乳剤による暗黒物質の検出―写真科学の知見と手法の適用― (2016)
  • 著者名/発表者名: 谷忠昭、中竜大
  • 雑誌名: 日本写真学会誌 巻: 79 ページ: 2-10
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Direction-sensitive dark matter search with gaseous tracking detector NEWAGE-0.3b (2015)
  • 著者名/発表者名: Kiseki Nakamura, Kentaro Miuchi, Toru Tanimori, Hidetoshi Kubo, Atsushi Takada, Joseph D. Parker, Tetsuya Mizumoto, Yoshitaka Mizumura, Hironobu Nishimura, Hiroyuki Sekiya, Atsushi Takeda, Tatsuya Sawano, Yoshihiro Matsuoka, Shotaro Komura, Yushiro Yamaguchi, and Takashi Hashimoto
  • 雑誌名: Progress of Theoretical and Experimental Physics 巻: 043F01s ページ: 1-14
  • DOI: 10.1093/ptep/ptv041
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Analysis system of submicron particle tracks in the fine-grained nuclear emulsion by a combination of hard x-ray and optical microscopy (2015)
  • 著者名/発表者名: T.Naka, T.Asada, M.Yoshimoto, T.Katsuragawa, Y.Suzuki, Y. Terada, A.Takeuchi, K.Uesugi, Y.Tawara, A.Umemoto and M.Kimura
  • 雑誌名: Review of Scientific Instruments 巻: 86,0730701(2015), ページ: 1-6
  • DOI: 10.1063/1.4926350
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] 暗黒物質方向探索における局在表面プラズモン共鳴現象を用いた飛跡解析手法の開発 (2015)
  • 著者名/発表者名: 梅本篤宏、中竜大、浅田貴志、桂川貴義
  • 雑誌名: 応用物理学会放射線分科会学会誌:放射線 巻: 4 ページ: 225-230
  • 査読あり
• [雑誌論文] 暗黒物質探索実験のための地下環境の中性子測定 (2015)
  • 著者名/発表者名: 吉本雅浩、中竜大、浅田貴志、待井翔吾
  • 雑誌名: 応用物理学会放射線分科会学会誌:放射線 巻: 4 ページ: 231-235
  • 査読あり
• [学会発表] 「謎多きニュートリノの世界～素粒子物理学はどこへ向かうのか」 (2016)
  • 著者名/発表者名: 中竜大
  • 学会等名: 東濃地科学センターセミナー
  • 発表場所: 東濃地科学センターセミナー瑞浪市（岐阜県・瑞浪市）
  • 年月日: 2016-03-05 – 2016-03-05
  • 招待講演
• [学会発表] WIMP tracking with cryogenic nuclear emulsion (2016)
  • 著者名/発表者名: Mitsuhiro Kimura
  • 学会等名: VCI2016
  • 発表場所: Vienna University of Technology, Vienna, Austria
  • 年月日: 2016-02-18 – 2016-02-18
  • 国際学会
• [学会発表] Performance of VUV-sensitive MPPC for Liquid Argon Scintillation Light (2016)
  • 著者名/発表者名: Tatsuki Washimi
  • 学会等名: International Symposium on Radiation Detectors and Their Uses (ISRD2016)
  • 発表場所: KEK, Tsukuba,Japan
  • 年月日: 2016-01-20 – 2016-01-20
  • 国際学会
• [学会発表] Low Energy Response on Liquid Argon Scintillation and Ionization Process for Dark Matter Search (2016)
  • 著者名/発表者名: Masato Kimura
  • 学会等名: International Symposium on Radiation Detectors and Their Uses (ISRD2016)
  • 発表場所: KEK, Tsukuba,Japan
  • 年月日: 2016-01-18 – 2016-01-18
  • 国際学会
• [学会発表] Direction-sensitive dark matter search with micro-TPC (2016)
  • 著者名/発表者名: Ryota Yakabe
  • 学会等名: International Symposium on Radiation Detectors and Their Uses (ISRD2016)
  • 発表場所: KEK, Tsukuba,Japan
  • 年月日: 2016-01-18 – 2016-01-18
  • 国際学会
• [学会発表] Radiation Detector Development for Direct Dark Matter Search (2016)
  • 著者名/発表者名: Kentaro Miuchi
  • 学会等名: International Symposium on Radiation Detectors and Their Uses (ISRD2016)
  • 発表場所: KEK, Tsukuba,Japan
  • 年月日: 2016-01-18 – 2016-01-18
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] 「暗黒宇宙と素粒子物理学」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 中竜大
  • 学会等名: 愛知県立一宮高等学校SSH
  • 発表場所: 愛知県立一宮高校（愛知県・一宮市）
  • 年月日: 2015-12-18 – 2015-12-18
  • 招待講演
• [学会発表] Study of Negative-Ion TPC using u-PIC for Directional Dark Matter search (2015)
  • 著者名/発表者名: Tomonori Ikeda
  • 学会等名: 2015MPGD2015
  • 発表場所: Trieste, Italy
  • 年月日: 2015-10-12 – 2015-10-16
  • 国際学会
• [学会発表] Direct Detection of Liquid Argon Scintillation with MPPC (2015)
  • 著者名/発表者名: Tatsuki Washimi
  • 学会等名: LIght LIDINE 2015 Detection In Noble Elements
  • 発表場所: The University at Albany, USA
  • 年月日: 2015-08-28 – 2015-08-30
  • 国際学会
• [学会発表] 宇宙の未知粒子 「暗黒物質」を探る (2015)
  • 著者名/発表者名: 身内賢太朗
  • 学会等名: 日本物理学会 四国支部 チュートリアル講演会
  • 発表場所: 徳島大学（徳島県・徳島市）
  • 年月日: 2015-08-02 – 2015-08-02
  • 招待講演
• [学会発表] 宇宙の未知粒子 「暗黒物質」を探る (2015)
  • 著者名/発表者名: 身内賢太朗
  • 学会等名: 島根大学 ヒッグス・初期宇宙プロジェクトセンター 一般講演会
  • 発表場所: 島根大学(島根県・島根市)
  • 年月日: 2015-08-01 – 2015-08-01
  • 招待講演
• [学会発表] NEWAGE (2015)
  • 著者名/発表者名: Kentaro Miuchi
  • 学会等名: Mini workshop on direct search of Dark Matter
  • 発表場所: CUP, IBS, Daejeon, Korea
  • 年月日: 2015-07-07 – 2015-07-07
  • 国際学会
• [学会発表] NEWS project -Detector Technologies- (2015)
  • 著者名/発表者名: Tatsuhiro Naka
  • 学会等名: NEWS seminar
  • 発表場所: University of Rome, Italy
  • 年月日: 2015-06-16 – 2015-06-16
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] The simulation about effects of micro construction in the nuclear emulsion (2015)
  • 著者名/発表者名: Takashi Asada
  • 学会等名: ICAI2015 , The 1st International Conference on Advanced Imaging
  • 発表場所: National Xenter of Science, Japan
  • 年月日: 2015-06-15 – 2015-06-15
  • 国際学会
• [学会発表] NEWAGE (2015)
  • 著者名/発表者名: Kentaro Miuchi
  • 学会等名: CYGNUS2015
  • 発表場所: Occidental College, Los Angeles, USA
  • 年月日: 2015-06-02 – 2015-06-04
  • 国際学会
• [学会発表] Background study and reduction for NEWAGE (2015)
  • 著者名/発表者名: Takashi Hashimoto
  • 学会等名: CYGNUS2015
  • 発表場所: Occidental College, Los Angeles, USA
  • 年月日: 2015-06-02 – 2015-06-04
  • 国際学会
• [学会発表] Invention of super-resolution readout system using plasmon of directional dark matter search with emulsion (2015)
  • 著者名/発表者名: Atsuhiro Umemoto
  • 学会等名: CYGNUS2015
  • 発表場所: Occidental College, Los Angeles, USA
  • 年月日: 2015-06-02 – 2015-06-04
  • 国際学会
• [学会発表] Detection efficiency and angular resolution of directional dark matter search with the nuclear emulsion (2015)
  • 著者名/発表者名: Takayoshi Katsuragawa
  • 学会等名: CYGNUS2015
  • 発表場所: Occidental College, Los Angeles, USA
  • 年月日: 2015-06-02 – 2015-06-04
  • 国際学会
• [学会発表] The performance and status of directional dark matter search with the nuclear emulsion (2015)
  • 著者名/発表者名: Takashi Asada
  • 学会等名: CYGNUS2015
  • 発表場所: Occidental College, Los Angeles, USA
  • 年月日: 2015-06-02 – 2015-06-04
  • 国際学会
• [備考] NEWAGE
  • URL: http://ppwww.phys.sci.kobe-u.ac.jp/~newage/newage_j.html
• [備考] 宇宙の歴史をひもとく地下素粒子原子核研究 計画研究B02
  • URL: http://www.lowbg.org/ugnd/?page_id=49
• [備考] 宇宙の歴史をひもとく地下素粒子原子核研究 計画研究B02成果
  • URL: http://www.lowbg.org/ugnd/?page_id=851