研究領域 | 宇宙の歴史をひもとく地下素粒子原子核研究 |
研究課題/領域番号 |
26104006
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
作田 誠 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40178596)
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研究分担者 |
鈴木 英之 東京理科大学, 理工学部物理学科, 教授 (90211987)
池田 一得 東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (90583477)
井上 睦夫 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 准教授 (60283090)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 超新星爆発 / ニュートリノ / 超新星背景ニュートリノ / ガドリニウム熱中性子反応 |
研究実績の概要 |
H27年度の目標として、昨年度製作した水溶液中のラジウム濃度測定システムを用いて、系のバックグランドの濃度を測定、ガドリニウム除去樹脂からのバックグランド測定、ガドリニウム水溶液中のラジウム濃度を測定、ラジウム除去樹脂を通した後のガドリニウム水溶液のラジウム濃度を測定すると書いた。まず、イオン交換樹脂によるラジウム除去性能評価を行ったところ、ラジウム除去樹脂の候補自身から有意なバックグラウンドを確認した。その原因は、イオン交換樹脂作成時に使用したガドリニウムがラジウムを多く含んでいることが分かった。金沢大学でのゲルマニウム検出器により、イオン交換樹脂がラジウムを多く含んだガドリニウム水溶液中のラジウム量を1/1000以下に削減できることが新たにわかり、イオン交換樹脂によるラジウム削減の原理検証を行うことができた。昨年度JPARC-MLFで取得した高統計・高精度の濃縮ガドリニウム155,157熱中性子反応のデータ解析を行い、Geant4標準のγ線生成モデルを作成し、データとモデルの40%レベルの一致を見た。ニュートリノ中性カレント酸素・炭素でのγ線生成のデータ解析も進めた。理論班活動として、中里が中心に作成した超新星ニュートリノデータベースと観測から星形成率や金属量の進化モデルを考慮し超新星背景ニュートリノエネルギー分布の計算を行った。領域の若手大学院生や博士研究者の育成のため、領域研究会や超新星ニュートリノ研究会でチュウトリアル講演や若手のポスター・口頭発表の機会を増やした。11月には、日本だけでなく、アジア・ヨーロッパ・米国の若手大学院・博士学生を集め、第2回国際ニュートリノ反応スクール(NuSTEC15)を岡山大学で開催し、42名(内海外30名)の参加者を得た。そこで、本領域の講演(3つ)を行い、領域の成果を海外の若い研究者にも宣伝した。ポストドク1名が常勤職を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
イオン交換樹脂によるラジウム除去性能評価を行ったところ、ラジウム除去樹脂の候補自身から有意なバックグラウンドを確認した。その原因は、イオン交換樹脂作成時に使用したガドリニウムがラジウムを多く含んでいることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
我々の最終目標である極低レベルのラジウム濃度を達成するするには高純度のイオン交換樹脂が必要で、その作成に必要な高純度ガドリニウムの開発を行う。そのために、開発した「液体中のラジウム濃度測定システム」を用いて、候補となる硫酸ガドリニウムを純水に溶解し、ラジウム含有量の評価を行う。また、硫酸ガドリニウム中のトリウムについても評価するために、ICPMSを用いた評価方法を開発し、評価を行う。平行して、高純度イオン交換樹脂ができた際に、その評価として硫酸ガドリニウム水溶液中の極低レベルのラジウム量を測定するためのセットアップの開発も行う。計画全体としては、目標通りに最終年度にスーパーカミオカンデ実験にガドリニウムを導入できるようにおおむね順調に進んでいる。 JPARC-MLFでのガドリニウム熱中性子反応解析、また酸素・炭素の巨大共鳴からのガンマ線生成解析は順調である。成果発表に向けて進んでいる。超新星背景ニュートリノ理論開発では、ニュートリノ振動の影響(物質振動、ニュートリノ自己相互作用)も考慮した計算も進められており、順調である。
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