研究実績の概要 |
(1) KamLANDの超新星前兆ニュートリノのアラームは外水槽の点検後に早急に復活させることに成功した. また, データ処理系の見直しによりレイテンシやロバスト性の向上に成功した. (2) 近傍超新星による超頻度イベントに対応したトリガー改良を終了させた. また, XMASSのために新しいトリガーボードのテストベンチを構築した. さらに, KamLANDは全波形取得を目指した新型FADC回路を開発を着実に進めている. (3) 我々は12, 15, 20 太陽質量の星のケイ素燃焼から重力崩壊に至る進化における星から放出されるニュートリノのスペクトルを調べた。その結果、次世代ニュートリノ観測装置を用いれば超新星前兆ニュートリノのイベント数の時間変化から星の酸素shell燃焼やケイ素shell燃焼の点火時期を推測できる可能性があることがわかった。また、中性子星連星の母天体となりうる連星系で起こるultra-stripped超新星における元素合成を2次元超新星爆発シミュレーションの結果を用いて調べた。そして、この超新星は放出される物質の中性子過剰の割合によってはGa-Zn程度の比較的軽い重元素を生成しうることがわかった。また、この超新星はSN 2005ekのように暗く減光が早い超新星として観測される性質を持つ。 (4) XMASSでの超新星ニュートリノ観測の可能性をまとめて論文とした. さらに, XMASSでは太陽起源のカルツァ=クライン・アクシオンなどの天体起源の信号探索を進めている. (5) 重力波イベントGW150914/GW151226に対応したニュートリノイベントの探索を行い, その結果を出版した.
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