研究領域 | 3D活性サイト科学 |
研究課題/領域番号 |
26105006
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
林 好一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20283632)
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研究分担者 |
細川 伸也 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30183601)
大山 研司 茨城大学, 理工学研究科, 教授 (60241569)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 蛍光X線ホログラフィー / 中性子線ホログラフィー / 局所構造 / 3D原子イメージング / 強磁性半導体 / 光化学系II |
研究実績の概要 |
以下に示す(i)~(iv)の4つのトピックについて,主な成果を上げた.(i):バイオ物質に向けたノーマルモードの蛍光X線ホログラフィーの開発を行った.ここでは、サイト選択性も実現するために,二次元X線検出器を用いた新たな測定技術開発にも取り組んだ.試料にはマグネタイト単結晶を用いた.鉄二価および鉄三価の異なる吸収端を用いて,それぞれのホログラムを別々に抽出することに成功した.ここで得られたデータ処理技術は,サイト選択バイオホログラフィーの確立にとって大変有用である.(ii):Bi2Te3Mn0.1トポロジカル絶縁体について,Mn原子の不純物サイトを探索するために,100Kおよび300KでMnKαX線蛍光ホログラフィーおよびXAFS測定を行った.可能なMn不純物サイトは,置換サイトおよび層間サイトであることを見出した.置換部位の不純物Mn原子の位置変動には明確な温度依存性も見られた.(iii):熱伝導率を改善させるためにTaをドープした熱電材料Fe2VAlホイスラー合金の蛍光X線ホログラム測定を行った.Ta周辺の局所構造を理解するために,我々はTa Kα線による 蛍光X線ホログラムを観察した. Ta周辺のFe像はV付近のFe像より強く,Taの位置ゆらぎがV よりも小さいことが示された.(iv):軽元素の局所構造観察を目的とし,J-PARCでの多波長中性子ホログラフィーの開発を行ってきた.我々は,BドープSi,RB6(R:Yb,La),EuドープCaF2中のドーパント周辺の局所構造を観察することに成功した.特に,EuドープCaFについては,Euの価数が三価であることが原因とされる,近接Caの異常な原子位置ずれが観測された.また,電荷を補償するために余剰なFが格子間に存在することも確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連携研究については,予定通り順調に進んでいる。また.論文についても高IFの雑誌に多数掲載された.
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今後の研究の推進方策 |
中性子線ホログラフィーについては,0.1%以下のドーパントについても実験可能性の評価を進める.水素やリチウムなどの,他の手法では見えない元素の局所構造の観測にも新たにチャレンジする.蛍光X線ホログラフィーについては,CaC6のカルシウムのまわりの3Dイメージングを対象とした実験を行い,光電子ホログラフィーとの結果の比較を行う.バイオ蛍光X線ホログラフィーについては,サイト選択技術をPSII中のMn4CaO5クラスターの価数配置決定に応用する.得られた構造情報をA03班鷹野Gにフィードバックし,光合成反応のメカニズムを解明する.
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