研究領域 | 3D活性サイト科学 |
研究課題/領域番号 |
26105008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
若林 裕助 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40334205)
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研究分担者 |
高橋 敏男 東京大学, 物性研究所, 教授 (20107395)
虻川 匡司 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (20241581)
田尻 寛男 公益財団法人高輝度光科学研究センター, その他部局等, 研究員 (70360831)
白澤 徹郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (80451889)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 物性実験 / 表面・界面物性 / X線 / 時分割測定 / 有機半導体 |
研究実績の概要 |
本計画研究では表面・界面ホログラフィーの手法を高度化し、面状の活性サイトである表面・界面における活性の起源を明らかにする事を目的としている。5年間を通した目標は【課題1】時分割CTR散乱測定法の開発,【課題2】 CTR散乱原子イメージングによる表面・界面構造物性研究の確立,【課題3】 CTR散乱原子イメージングの普及に向けた自動解析手法の開発,の3つであり,初年度は課題1,2を行った。 課題1に関して,基本方針としてはpump-probe法ではなく,シングルイベントの測定ができる手法を目指した。その中で高時間分解測定法と,高空間分解能測定法の二種類の手法の開発を進めた。26年度の特筆すべき成果は,高時間分解能測定法として100psから1msの時間分解能をカバーする高速反射電子線回折(RHEED)用のストリークカメラの開発に成功した事である。高空間分解能測定はX線を用いた波長角度同時分散型ラウエカメラの開発・高度化を進めている。現段階では1秒の時間分解能で,金属酸化物のブリルアンゾーン1つ分の領域を測定できる装置ができている。これらのカメラを用いて,27年度以降,課題2の達成に向けて研究を進める。 課題2に関して,有機半導体で大きな表面構造緩和を発見した。従来,有機半導体ほどに複雑な構造の物質の表面構造緩和は調べられていなかったが,我々の研究で初めて有機半導体に大きな表面構造緩和が生じる例を発見した。この構造変化によって,表面第一層だけ電気伝導性が異なる層が自発的に生じる事がわかった。これは有機半導体デバイスの設計に重要な知見であり,新しい思想に基づくデバイス設計を可能にする成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
時分割測定装置の開発期間を当初は2年間と予定していたが,26年度末の段階で高時間分解能装置(RHEEDストリークカメラ)は開発が完了し,利用出来る状態となった。高空間分解能装置であるX線カメラについても時間分解能1秒程度は達成されており,テーマを選ぶことで充分,利用可能な状況である。 さらに,課題2についても有機半導体表面での現象理解に必要な新しい情報を与えることに成功した。課題2,表面・界面構造物性研究の確立は5年間を通した大きな目標であるが,初年度から良い成果が得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
課題1は半ば以上達成されたので,課題2,3に重点的に力を注ぐ。 放射光のビームタイム確保が問題となるため,PhotonFactoryのS課題(3年間,優先的にビームタイムを利用できるプログラム)に申請を行う予定である。 もう一つの問題は,得られた結果の解析法(課題3の主題)の開発である。これについては理論班との連携などを強化する方向で進行中である。
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備考 |
その他報道:JSTサイエンスポータル ニュース速報 2014年11月10日 http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2014/11/20141110_01.html 日刊工業新聞 2014年11月21日 有機半導体の表面構造、結晶内部と大きく異なる構造が存在-阪大など発見 で報道された。
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