今後の研究の推進方策 |
平成28年度以降は以下の課題について取り組む。(1) 蛍光X線ホログラフィー法における像再生を手助けするために、トポロジカルデータ解析と機械学習を組み合わせた数理的手法の開発を引き続き進める。(2) グラフェンフレークのエッジに吸着したPtクラスターの構造決定およびCO吸着エネルギーの解析を行う。平成29年度は格子空孔およびグラフェンフレークに担持したPtクラスターによる触媒反応の解析を行う。平成30年度はそれまで得られた知見を基に、別の金属元素による新たなグラフェン担持金属クラスター触媒の設計を試みる。(3) 第一原理計算によりZnSnAs2のZnサイトにそれぞれ3d遷移金属(V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni)を微量添加し、その強磁性安定性や強磁性の発現機構を解析し、平均場近似の範囲内でキュリー温度を予測する。それらの結果を実験サイド(内富G)と突き合わせていく。また、第一原理計算を実行する際、交換相関項の取り扱いにより出てくるエラーを補正(自己相互作用補正)した計算によってさらに精度よく強磁性安定性、強磁性発現機構及びキュリー温度を議論する。次に、そのキュリー温度について磁気的パーコレーションの効果を導入したさらに精度良いキュリー温度をモンテカルロシミュレーションによって見積もる。(4)H28年度中に先に求めた有効クラスター相互作用を用いて、モンテカルロシミュレーションにより、貴金属や酸素空孔の凝集・分散傾向を可視化するプログラムを作成し、La(Fe, Pd)03に適用する。(5)Rh:SrTiO3系に関しては、計画研究01に05,06を加え、次のステップである酸素欠陥の周囲の電子状態と局所構造の解明に取り組む。具体的には、X線分光で得られる電子状態の情報や原子分解能ホログラフィー法で得られる各原子の変位の情報から推定される構造モデルを第一原理計算によって検証する。
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