計画研究
有機半導体の機能解析およびその制御には、不規則性に由来する活性サイトの解明と制御が重要になっている。そのため、精密な原子構造・電子構造解析による活性サイト研究の下、電気的、光学的機能設計のための理論的体系を構築することを目的に研究を行っている。今年度は、研究環境を整えるとともに、以下の研究を行った。【課題1】第一原理電子状態計算による有機半導体の電子・結晶構造と活性サイトの理論。ファンデルワールス密度汎関数によってオリゴアセン結晶の構造予測を行い、格子定数や格子体積を、実験値から1%程度の誤差で予測できることを確かめ、新規に合成される有機半導体結晶の構造決定法を確立した。この手法を用いて有機班山田Gで合成され手法班若林Gで実験的に構造解析を進めるフェナセンの結晶構造・表面構造の予測計算を進めている。【課題2】有機半導体のキャリア伝導と活性サイトの理論。ホッピング伝導機構からバンド伝導機構までを一括して扱える計算理論として開発してきた時間依存波束拡散法を発展させた。密度汎関数法の有効ハミルトニアンから局在基底を用いた行列表現を用いてキャリア輸送機構に対する活性サイトの詳細を解析可能にする理論的方法論の発展を行った。公募班安田Gで合成された新規材料の有効質量を明らかにした。【課題3】有機半導体のフォノン場、フォトン場との相互作用と活性サイトの理論。有機太陽電池の変換効率に関わる有機結晶中の励起子の量子動力学モデルを発展させているとともに、有機班山田Gの作成したナノグラフェン/フラーレン共結晶について、光誘起電荷分離機構を理論解析した。
1: 当初の計画以上に進展している
平面波展開による電子状態計算からの有効ハミルトニアンを用いた伝導理論の開発によって有機半導体のキャリア機構の解析方法の発展が計画以上に進展した。また、【課題3】有機半導体のフォノン場、フォトン場との相互作用と活性サイトの理論は、3年目以降に開始する予定であったが、初年度から研究を前倒しし、有機実験班山田Gと連携を行うなど当初の計画以上に進展した。
【課題1】第一原理電子状態計算による有機半導体の電子・結晶構造と活性サイトの理論。【課題2】有機半導体のキャリア伝導と活性サイトの理論。の当初の計画に加え、前倒し実施した【課題3】有機半導体のフォノン場、フォトン場との相互作用と活性サイトの理論の研究を進め、有機半導体の「3D活性サイト」制御による新規材料開発のための理論的設計指針作成を行う
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち国際共著 3件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 7件、 招待講演 10件) 備考 (2件)
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