研究領域 | 3D活性サイト科学 |
研究課題/領域番号 |
26105012
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鷹野 優 大阪大学, たんぱく質研究所, 助教 (30403017)
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研究分担者 |
石北 央 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00508111)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 活性サイト / 金属タンパク質 / 光化学系II / レアイベント / ヘム / 構造機能相関 |
研究実績の概要 |
本年度は、(1) 生体活性サイトの機能解明に向けた新しい分子シミュレーション技術の開発と(2)3D活性サイトの分子構造・電子状態の理論計算による精緻化を進めた。(1)では、通常の分子動力学シミュレーション(MD)で追跡不可能であるタンパク質の機能発現の効率的なレアイベント探索のため、(i) 構造変化を誘起する可能性が高い初期構造選択と、(ii) 短時間MDによる初期構造の構造リサンプリング過程から成る効率的構造サンプリング手法、Outlier FLOODing法とTaBoo SeArch algorithmを提案した。また、理論計算によってタンパク質などの生体高分子の機能発現機構を明らかにするには、活性サイトの電子状態には量子力学計算(QM)を用い、タンパク質の動的構造には経験的な力場(MM)を用いた分子動力学計算を用いる。我々はそのような量子力学と古典力学の並列連成計算のオリジナルなコードの開発・高度化を行い、発光タンパク質siriusの発色団への応用を実施した。(2)では、光合成システムII (PSII)の活性中心であるCaMn4O5クラスターに対して、QM/MM計算により構造最適化を行い、タンパク質の静電相互作用を考慮に入れた中間体の構造同定およびMnの酸化状態などの電子状態を決定し、「3D活性サイト」の分子構造・電子状態の精緻化を行った。また、ヘムの多機能性の起源を明らかにするため、、ヘムの構造としてヘムの歪みを、機能として電子伝達や酸化還元反応に関わる酸化還元電位に着目し、量子化学計算によるヘム単体の構造-機能相関の解明として実施した。ヘムのポルフィリン面外よりも面内の振動モード由来の歪みの方が酸化還元電位に対してより敏感であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、シミュレーション技術の開発および生体活性サイトの構造の精緻化を遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究を通じて、シミュレーション技術の開発および活性サイトの電子状態の理解を進めることができた。平成27年度はこの成果を基盤に、金属タンパク質の機能解明に発展させ、機能発現要素を抽出したいと考えている。
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