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2014 年度 実績報告書

冥王代類似環境微生物

計画研究

研究領域冥王代生命学の創成
研究課題/領域番号 26106004
研究機関独立行政法人産業技術総合研究所

研究代表者

鎌形 洋一  独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究部門付 (70356814)

研究分担者 玉木 秀幸  独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (00421842)
西原 秀典  東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (10450727)
柿澤 茂行  独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (10588669)
黒川 顕  東京工業大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20343246)
研究期間 (年度) 2014-06-27 – 2019-03-31
キーワード冥王代 / 蛇紋岩熱水系 / 嫌気性微生物 / 難培養性微生物 / メタゲノム / 独立栄養微生物
研究実績の概要

本計画研究班では、冥王代類似環境やその周辺熱水環境に棲息する微生物のゲノム解読、培養化、生理生態機能の解明を通じて、最終的に原始的な生命体のゲノムや生物機能の痕跡に迫ることを目的とする。
本計画班では 1) 冥王代類似環境の一つである、白馬八方温泉の蛇紋岩熱水系においてサンプリングを行い、冥王代類似環境に棲息する微生物の多様性を明らかにする研究を開始した 2) 本蛇紋岩熱水系において優占的に存在している微生物のゲノム構造をおおよそ明らかにした3) 当該環境に生存する微生物は古典的手法による培養が極めて困難であることが予想されることから、ゲノムに刻まれている情報を明らかにするために蛇紋岩熱水系微生物群から得られたゲノムを培養可能な微生物に移植する大規模ゲノム操作系の基礎技術開発を試みた4) 鉄を初めとする金属・鉱物を直接エネルギー源とする微生物を単離することによって、生命初期進化における生命装置を明らかにする研究を開始した5) 初期生命が持っていたゲノム情報を推定するための1つのアプローチとして、現生生物のゲノム情報に基づいた祖先型遺伝子配列の推定を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1) 蛇紋岩熱水系においてサンプリングを行い、冥王代類似環境微生物の多様性解析を試みた。バイオマスが極めて少ない環境試料であったため、DNAをランダムに増幅するwhole genome amplification (WGA) 法を利用するとともにWGA法による増幅バイアスを補正し、ゲノム再構築や遺伝子量の評価を可能とする新たなバイオインフォマティクス手法を開発した。こうした解析手法を駆使しつつ、蛇紋岩熱水系に存在する微生物群集構造を解析した結果、同環境にはNitrospira門とともに複数の未知細菌の存在を明らかにした。
2) あらためて現場サンプリングを行い、白馬の蛇紋岩熱水系の微生物ゲノムの解析を進めるとともに、現位置で熱水を大量濾過するシステムを適用し、各種培養戦略を考案して嫌気培養実験を開始した。
3) 大規模ゲノム操作系の基礎技術の開発を試みた。巨大なゲノム断片をハンドリングするための技術要素を確立し、酵母を用いることで数百キロ塩基のゲノム断片を分解させることなく扱うことができることを明らかにした。
4) 金属鉄を一つのモデル金属としてこれを唯一のエネルギー源として無酸素条件下で生育可能な微生物の探索を行った結果、金属鉄を電子供与体として二酸化炭素を還元する酢酸生成型細菌の分離培養に初めて成功した。
5) 初期生命が持っていたゲノム情報を推定するため、現生生物のゲノム情報に基づいた祖先型遺伝子配列の推定を行った。今年度はCO2からアセチルCoAを生成するWood-Ljungdahl pathwayに関与する代表的な酵素群(ACDS等)の祖先配列推定を行った。

今後の研究の推進方策

1) 白馬の蛇紋岩熱水をより大量に取得し、引き続き大規模な分離培養を試みてゆく予定である。当該年度における現地サンプリングの経験を生かし、現位置で熱水を大量かつ迅速に濾過するシステムを導入し冥王代類似環境に存在する微生物の実体を解明する。
2) バイオインフォマティクス手法をさらに発展させ、すでにゲノム情報が得られつつあるいくつかの主要な微生物の完全長ゲノム配列を得ることを目標とする。Nitrospira門の未知細菌を初めとするいくつかのゲノムの高精度解読を進める。
3) 酵母を用いることで数百キロ塩基のゲノム断片を分解させることなく扱うことができることを明らかにしたが、遺伝子発現効率を高めるために新たな宿主の開発を行う予定である。
4) 初期生命体におけるエネルギー代謝系の根幹がWood-Ljungdahl pathwayであるという作業仮説を立て、他の計画班と連携しながら、生命初期進化とchemistryとの関係を追求してゆく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Isolation of acetogenic bacteria that induce biocorrrosion by utilizing metallic irons as the sole electron donor2015

    • 著者名/発表者名
      Kato, S., I. Yumoto, Y. Kamagata
    • 雑誌名

      Applied and Environmental Microbiology

      巻: 81 ページ: 67-73

    • DOI

      10.1128/AEM.02767-14

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] CLAST: CUDA implemented large-scale alignment search tool.2014

    • 著者名/発表者名
      Yano M, Mori H, Akiyama Y, Yamada T, Kurokawa K
    • 雑誌名

      BMC Bioinformatics

      巻: 15 ページ: e406

    • DOI

      doi:10.1186/s12859-014-0406-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The genomic substrate for adaptive radiation in African cichlid fish.2014

    • 著者名/発表者名
      Brawand D, et al
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 513 ページ: 375-381

    • DOI

      doi:10.1038/nature13726

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A hidden pitfall in agar media preparation undermines cultivability of microorganisms,2014

    • 著者名/発表者名
      Tanaka T, Kawasaki K, Daimon S, Kitagawa W, Yamamoto K, Tamaki H, Tanaka M, Nakatsu CH, Kamagata Y
    • 雑誌名

      Applied and Environmental Microbiology

      巻: 80 ページ: 7659-7666

    • DOI

      10.1128/AEM.02741-14

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2016-06-01  

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