研究領域 | 冥王代生命学の創成 |
研究課題/領域番号 |
26106006
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
戎崎 俊一 独立行政法人理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 主任研究員 (10183021)
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研究分担者 |
飯高 敏晃 独立行政法人理化学研究所, 戎崎計算宇宙物理研究室, 専任研究員 (60212700)
佐々木 貴教 京都大学, 大学院理学研究科, 助教 (70614064)
塩田 大幸 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特任助教 (90462192)
片岡 龍峰 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (90462671)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 宇宙線 / 太陽物理学 / 地球・惑星内部構造 / 惑星起源・進化 |
研究実績の概要 |
H26年度には、 原始惑星系円盤の進化を記述する一次元モデルの構築した。 Shakura and Sunyaev (1973)の定式化に基づき円盤の定常解を求めた。その結果、0.3-10天文単位に、磁気回転不安定の抑制により静穏領域が実際にできることが分かった。そして、静穏領域の外側の境界と内側の境界の二か所で固体粒子が円盤中央面付近に集積し、重力不安定を起こして数キロメートルの微惑星を効率的に形成することが分かった。前者では、氷(雪)が、後者では岩石粒子が集積する。これらがさらに合体を繰り返し、前者がガス惑星の核、後者が岩石惑星に成長することが期待される。また、岩石微惑星の形成場所の温度は1000-1300Kとかなり高温で、水分をなどの揮発成分は固体成分から失われることが予測される。 これは、地球が水を持たない星として生まれ、後に少量の水を獲得したとするABELモデル(A01冥王代班が提唱)と整合的である。また、原始惑星系円盤のガスは、中心星からの電離紫外線による光電離蒸発過程で、内側から失われる。惑星形成のごく初期の、降着率が高い時期には円盤の内側の端付近から、光電離によって固体粒子が放出される。それらは融解しつつ恒星風で外に運ばれ、ガス密度の低下により再び円盤に戻る。このようにして、CAI(Ca-Al rich Inclusion)やコンドリュールが形成される可能性があることが分かった。以上の結果を、まず2015年2月に行われたのA05班メンバーを中心とした第一回生命惑星研究会で徹底的に討論し、問題点とその解決策について議論した。さらに3月に白馬で行われた第二回冥王代生命学の創成シンポジウムにおいてその結果を発表し、その冥王代地球への影響を他班のメンバーと議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一次元定常モデルが構築され、おおむね予想通りの機能を持っていることが分かった。これらの知見をもとに学会発表等を行うとともに、論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、原始惑星円盤における物質分布とその化学組成を明らかにし、惑星・小惑星の材料物質を議論して、A01班の研究につなげるために小惑星・隕石の同位体組成などとの関係を議論する。また、原始星を作る母星雲が持つ角運動量と磁気フラックスの強さにより、原始惑星円盤の静穏領域の大きさが規定されることが分かってきた。これを用いて、系外惑星系の多様性の説明を試みる。
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