研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
26108004
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉伸 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (70243219)
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研究分担者 |
大竹 義人 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (80349563)
山崎 隆治 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任准教授 (40432546)
多田 幸生 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (70135812)
菅野 伸彦 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (70273620)
高尾 正樹 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30528253)
堀 雅敏 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00346206)
小路 直 東海大学, 医学部, 講師 (50514890)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 医用画像解析 / 統計数理 / 臨床意志決定支援 / 生体シミュレーション / 医療情報 |
研究実績の概要 |
(1)多元データベースの整備:機能・病理情報統合を中心とした多元計算解剖モデルを構築するための学習データとなる多元データベースを構築した。具体的に、26年度は、以下のデータベースを構築した。(Ⅰ) 肝臓多元データベース:MR画像、血液検査データ、生検データ各70例を新たに構築し、そのうち数例において、エラストグラフィ画像を取得した。また、以前から所有しているCT画像と生検データ各90例のすべてに血液検査データを付加した。(Ⅱ)股関節多元データベース:韓国Ajou大学で構築された股関節cadaver組織画像データ(100μボクセルサイズ)の光学むらを除去し、高精度の3次元画像処理を行えるよう整備した。CT撮影された2体のcadaverを用いて、関節運動時の筋肉(筋線維)動態、骨と筋肉の付着部位の3次元データを取得した。20患者のCTデータ中の20筋肉のラベル画像を作成した。10患者の摘出骨頭のマイクロCT画像データを取得した。以上のように、股関節筋骨格の形態・動態・組織特性についてのデータベースを構築した。(Ⅲ)前立腺がん患者のマルチパラメトリックMR画像、組織画像、病理画像各20例を取得した。 (2)多元計算解剖モデルの構築と利用:構築した多元データベースを利用して以下のモデル構築と利用を行った。(Ⅰ)肝線維化推定:肝臓形状と血液検査データを統合したSVM (Support Vector Machine)を構築し、肝線維化の有無を推定し、形状と血液の2つの情報を統合することにより推定精度が有意に向上することを示した。(Ⅱ)股関節組織画像から筋線維の抽出を試みた。光学むらを除去することにより良好な抽出が行えることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多元データベースについては、肝臓、筋骨格、前立腺について、多元情報を統合したデータベースの第1バージョンが構築できた。肝臓については、エラストグラフィ―画像を伴ったデータ数が少ないが、今後、蓄積していく体制が整ったので、大きな問題とは考えていない。股関節についても、筋肉動態2例、マイクロCT10例であるが、これについても、今後、症例数を増やす準備が整っている。また、肝臓の病理画像のデータ収集についても、体制を整えるよう準備が整っているので、おおむね順調であると考えている。 多元計算解剖モデルについては、データベースを活用して、高精度の肝線維化推定、および、実画像からの筋線維抽出など、従来にない応用を実現し、多元計算解剖モデルの可能性を示すことができ、おおむね順調であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
多元データベースを、多元性、症例数の両面が増強する。肝臓については、エラストグラフィ画像と病理画像の症例数を増やし、肝臓の病理・機能のモデル化を増強する。股関節については、マイクロCTデータ、筋肉動態データの症例数を増やし、股関節筋骨格の病理・機能のモデル化を増強する。前立腺については、今後、生検時の病理データを統合して、精密な腫瘍領域推定法の確立を目指す。 27年度から公募研究がスタートするので、計画班との連携に加えて、公募班との連携を深める。特に、マイクロCTや病理・組織画像などの微細画像情報と、臨床のCT・MR画像などのマクロ画像情報の統合的利用の数理基盤開発において、公募班との連携を深めることを考えている。また、連携研究者として、大阪大学・黒田嘉宏准教授に加わっていただき、生体シミュレーションの観点での研究を推進させる。
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