計画研究
1.核医学画像診断支援システム: 1)体幹部FDG-PET診断に利用できる統計学的画像解析法を開発では、従来のSUV値による弁別能と新しい解析法で得られたZ-score画像のそれをROC解析によって評価したところ両者とも高い弁別能を示し、FDG-PET画像の読影において新たな指標として利用できる可能性が示された。2)PET/CT画像を用いた肺結節の悪性度解析手法の性能評価では、すべての悪性腫瘍を正しく識別し、半数の良性病変が正しく識別された。また、PET/CT画像を用いた乳腺腫瘍の自動検出手法を開発では、真陽性率83%、1症例あたりの偽陽性数は1個という結果を得た。3)SPECT/CTを用いた骨シンチグラフィ検査における骨集積の3次元解析では、医師の測定結果と良好に一致した。2.形態解析基礎研究とDWI画像解析: 1)CT画像における解剖学的構造の自動認識を進め、これまでに認識できない部位も可能となった。2)体内の水拡散の度合いを表すDWI-MRに着目し、任意の拡散強度を持つDWI画像を仮想的に生成する方法を提案し、前立腺がんの自動検出に役に立つことを確認した。3)臓器の実物模型を3Dプリンタで作る方法を提案し、子宮筋腫の手術計画と患者説明に応用した。4)非造影乳腺MR画像を用いたコンピュータ支援診断手法について、造影剤を用いずに撮影されたMR画像を対象とした、乳腺腫瘍の自動検出手法と乳腺構造解析手法を開発した。3.身体機能診断支援システム: 1)筋萎縮性側索硬化症症例を対象とした全身CT画像における筋の自動認識、2)解剖学的に関連する2種の筋の同時モデリングと認識への応用、3)骨の精密特徴の自動認識法の開発に基づく筋の解剖学的付着部位の認識を行い、また超音波画像から膝伸展筋力を非侵襲的に推定するシステムの開発を行い、また超音波画像から膝伸展筋力を非侵襲的に推定するシステムの開発を行った。その結果、それぞれの研究課題において、総じて良好な結果を得た。
2: おおむね順調に進展している
形態解析や機能解析を利用した多数のCAD(コンピュータ支援診断)システム構築に関して、初期の処理アルゴリズムの開発,初期の実験、評価実験等を計画に従って行い,有益な結果を得ている。さらには、これらの研究成果の一部を、国内外での学会や研究会で多数発表する(あるいは発表予定である)ことができている。また、論文化も順調に進んでおり、国際連携についても順調に進捗している。以上より、本研究課題はおおむね順調に進展している,と判断される。
1.体幹部FDG-PET診断に利用できる統計学的画像解析法の開発では、CT画像における臓器自動抽出結果を利用した正常モデルの構築の導入を検討する。特に、大腸や小腸を含む腹部領域の領域抽出結果を利用して、精密な正常モデルを構築する。ここでは、PET/CT装置で得られる低線量CT画像を用いる。そして、腹部領域における異常集積の弁別能を明らかにする。また、小腸や大腸の腹部領域は放射線感受性が高いため、FDG-PET/CT検査における被ばく線量を自動解析する手法の開発についても取り組む。2.肺PET/CT画像を対象とした支援診断手法では、さらなる性能向上のため、深層学習法を取り入れた知的識別手法を検討する。また、SPECT/CTを用いた骨シンチグラフィ検査における骨集積の3次元解析では、骨集積を検出するためのしきい値を集積の分布から自動的に算出しているが、骨転移が多い症例でしきい値が過大に設定される課題があるため、しきい値算出アルゴリズムを改良する。3.筋機能解析については、部位別骨格筋の精密・複合解析技術の高度化を行う。特に、肩甲部の複数の骨格筋を対象とし、H27年度得た複数の筋の解剖学的付着部位を利用した,複数の筋認識への応用技術の開発に取り組む。また、新たにCOPD患者を対象とした脊柱起立筋の定量解析技術の開発を行う。これは、新たに脊柱起立筋を構成する複合筋モデルを構築し、機能解析に応用する新しい技術を確立する予定である。4.超音波画像から膝伸展筋力を非侵襲的に推定するシステムの開発では、推定値は超音波画像の撮影断面の違いによって変動を伴うと考えられるため、異なる検査者間において推定値の再現性の検証を行う。5.全般的にさらに多くの医療施設に協力を求め、国際連携や他の計画班や公募班とも密に協力しながら、研究を進行していく。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (34件) (うち国際共著 4件、 謝辞記載あり 26件、 査読あり 23件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (94件) (うち国際学会 24件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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