研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の多元化と高度知能化診断・治療への展開 |
研究課題/領域番号 |
26108010
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
橋爪 誠 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198664)
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研究分担者 |
鈴木 直樹 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40147327)
池田 典昭 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60176097)
小田 義直 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70291515)
木口 量夫 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90269548)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | ナビゲーション治療 / 計算解剖 / 治療シミュレーション / 分子イメージング |
研究実績の概要 |
今回の研究では、CTやMRなどデジタル情報だけでなく病理像や組織像、解剖所見や手術肉眼所見などの臨床情報をデジタル化して集約する。基礎的な検討として、膵癌自然発症モデルマウス(KPCマウス)を用い、病理像とマイクロCT、マイクロMR画像の統合を行うため、膵腫瘍形成前~形成後までの経時的なMR像を集積した。膵癌の悪性度診断や腫瘍増大パターンによる化学療法の治療効果を予測する為、抗癌剤投与KPCマウスモデルを作成し、治療前~治療後の経時的なMR画像を集積している。このMR画像より3Dに再構築後、腫瘍の容積を計測し、腫瘍が縮小する群と変化しない群とで病理像やMR画像を比較し、癌細胞の増殖能や転移能の評価に応用できないかも検討する。また、IPMN患者の経時的CT像から腫瘍増大の様子を3D動画にて再現した。MR画像との統合用に膵臓のルーペ像の作製も行ったので、今後はそれらの画像情報を元に腫瘍の将来を予測する予測シミュレーションのモデルを確立していく。様々なモデルにおいて病理像と経時的なマクロCT、マクロMR画像を統合することは、将来のCT、MR画像や病理像を予測し、悪性度診断や腫瘍の増大パターンによる術前化学療法の治療効果予測や切除後の再発の術前予測、浸潤範囲(臓器内進展、臓器外の多臓器への浸潤)を予測できるような多元解析モデルを構築する上で大変重要である。更に、この多元解析モデルを法医学の分野にて応用する為、死後の経時的なCT画像や解剖所見、病理像などから死亡経過時間を推定しようと試みており、ラットを用いて死後の経時的なCT画像の集積を行っている。また、動作に伴う自然な皮膚の変形を可能とする詳細な四次元全身モデルによるシミュレーション、小児成長の四次元表示と成長モデルの構築、四次元モデル表示装置の開発、肝胆膵領域の開腹下外科手術における術中ナビゲーションシステムの開発も進めている。更に臓器モデルを作成するため、実際の臓器の機械的特性(臓器プロパティ)を計測する実験装置を作成し臓器(豚の肝臓)の時間的変化を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
KPCマウスにおいては、膵腫瘍形成前~形成後までの経時的なMR像を集積できている。抗癌剤投与KPCマウスにおいては治療前~治療後の経時的なMR像を集積しており、3D構築により腫瘍の容積を計測しようと試みている。将来の腫瘍の状態の予測に応用可能となる為には、まずヒトIPMNの経時的なCT像を用いて腫瘍の増大を3D画像にて再現できなければならないが、腫瘍の増大の様子を3D動画にて再現可能なところまで進んでいる。また、死後経過時間推定の為の経時的なAIをラットにて行い、CT像を集積できている。
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今後の研究の推進方策 |
KPCマウスにおいては、sacrifice後の膵腫瘍全体の病理切片より3Dに再構築し、MRの3D像と統合し、将来のMR像や病理像を予測する。抗癌剤投与KPCマウスにおいては、腫瘍が縮小する群と変化しない群とで腫瘍の容積、病理像、MR像を比較する。これにより腫瘍の増大パターンや治療効果予測のモデルを構築する。ヒトIPMNでは、術直前のMR、CT像から3D構築し、ルーペ像と対応させる。経時的なMR、CT画像から将来の腫瘍の様子を予測する、予測シミュレーションの仮想モデルを構築する。また、AIによる経時的なCT像や、解剖所見、病理像などにより死後経過時間を推定するモデルを構築する。
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