| 研究領域 | 地殻ダイナミクス ー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー |
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| 研究課題/領域番号 |
26109003
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| 研究機関 | 名古屋大学 |
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研究代表者 |
鷺谷 威 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (50362299)
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| 研究分担者 |
深畑 幸俊 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10313206)
三浦 哲 東北大学, 理学研究科, 教授 (70181849)
大坪 誠 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 主任研究員 (70443174)
田上 高広 京都大学, 理学研究科, 教授 (80202159)
平松 良浩 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (80283092)
高田 陽一郎 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (80466458)
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| 研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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| キーワード | 歪み集中帯 / 地殻歪み速度 / 隆起運動の熱史解析 / GNSS観測 / 島弧地殻変形 / コーダQ |
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| 研究実績の概要 |
新潟県の歪み集中帯、糸魚川ー静岡構造線、跡津川断層、奥羽脊梁山脈等でGNSS観測を継続し、地殻変動速度データの精度を向上した。歪み集中帯におけるGPSデータの解析から東北沖地震前後で局所的な短縮変形が継続していることを見出し、地殻下部の非地震性断層すべりによるモデル化を行った。この短縮変形は地質学的な変形速度と整合的であり、長期的に累積する非弾性変形成分を測地データから分離することに成功したと言える。同様な解析を跡津川断層周辺でも実施し、局所的な歪集中が地震の前後でほぼ同じであることが分かった。この結果は活断層の直下では歪み集中帯と同様に非弾性変形が持続して上部地殻に応力集中している可能性を示唆する。一方、地質調査から、歪み集中帯では地震時と地震間で変位速度に違いがある可能性を見出し、跡津川断層周辺では活断層の無い場所で未固結の断層岩を伴う小～中規模の断層帯を多数発見し、地質学的な時間スケールでの変形に断層外の変形が寄与している可能性が示唆される。歪み集中帯における散乱構造の解析結果からは中部では下部地殻の変形速度が大きいことが歪集中帯の成因であるのに対し、北東部は新潟平野が堆積盆地であるために上部地殻の変形速度が大きい可能性が考えられる。また、2016年4月に発生した熊本地震に関連して、測地学的データに基づく断層モデルの推定を行うとともに、阿蘇山との関連についても考察した。東北地方では、東西方向に横断する測線沿いに山岳熱史解析を実施し、前弧側、脊梁部、背弧側で隆起傾向の違いを明らかにした。また、GNSS速度のクラスタ解析からプレート運動と沈み込みの影響によるプレート内変形の影響を受ける地域が分離できた。
以上のように、島弧地殻の変形過程について様々な時空間スケールから検討を進めて理解を深めた。特に測地データと地質データの間の関係の理解が深まった点は大きな成果である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
歪み集中帯の測地学的な地殻変動データから非弾性変形の寄与を分離することに成功し、この成分が地質学的な歪み速度を定量的に説明可能であることが示された。この結果、時間スケールによる歪み速度の１桁の食い違いは基本的に解消することができ、本計画研究における最重要課題には一定の結論が得られた。
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| 今後の研究の推進方策 |
2017年度は、従来通り測地観測、データ解析、野外調査、試料分析を継続する。また、測地学的歪み速度と地質学的歪み速度の違いに関する検討、および地殻の上下変動と水平変動の統一的な理解を進めるため、全体での研究集会に加えてA02独自の研究集会を開催して議論を深める。
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