研究領域 | 地殻ダイナミクス ー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー |
研究課題/領域番号 |
26109004
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹下 徹 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30216882)
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研究分担者 |
酒井 慎一 東京大学, 地震研究所, 准教授 (00251455)
豊島 剛志 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10227655)
藤内 智士 高知大学, 自然科学系, 助教 (10632557)
奥平 敬元 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20295679)
加藤 愛太郎 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (20359201)
松本 聡 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40221593)
亀田 純 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40568713)
廣野 哲朗 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70371713)
藤本 光一郎 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (80181395)
重松 紀生 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (80308163)
小林 健太 新潟大学, 自然科学系, 講師 (30283005)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 断層構造の発展 / 低速定常変形 / 地震性高速変形 / 地震観測 / 上部地殻 / 下部地殻 / 断層の力学的状態 / 断層セグメント・ジョグ |
研究実績の概要 |
計画研究B01の地質サブグループは、本年度に以下の装置を5つの機関に導入し、次年度以降の研究に備えて装置の立ち上げと、予備測定を行った(走査型プローブ顕微鏡、北海道大学; 非破壊急速冷凍装置、産総研; 小型カソードルミネッセンスシステム; 新潟大学・大阪市立大学; フーリエ変換赤外分光光度計、大阪大学)。地質サブグループの上部地殻班は三重県や愛媛県の中央構造線の調査を開始した。三重県中央構造線では複数個所で詳細なルートマップの作成・露頭記載を行った。断層の中核部ではより古い構造を切ってより新しい構造が発達していること、走向方向に複数の幾何学的断層セグメントとジョグの構造が見られることが明らかになった。地震性高速変形班は2000年鳥取県西部地震が生じた地域で露出した断層の予備調査を開始するとともに、2014年11月22日に生じた長野県北部地震を引き起こした神城断層について、地表地震断層および関連すると思われる活断層露頭の調査を行った。下部地殻断層班は、これまで採集された岩石試料を用いて変形微細組織解析を行い、下部地殻における剪断帯の形成・発達機構に関して考察した。例えば、日高変成帯において、地震性高速すべりによる炭素の変形・アモルファス化・同位体組成変化とその役割について明らかにした。地震観測サブグループはA01(応力班)の鳥取県西部地震震源域における地震観測を共同で実施しデータ収録を進めた。同時に、鳥取県西部地域の既存データの再解析により震源・地震波速度構造を推定するとともに、発震機構解データの整理を行った。また、他地域における断層と発震機構解との関係を調べ、断層の力学的状態の検出可能性を確かめることが出来た。分担者の重松紀生は国際陸上科学掘削計画(ICDP)が実施するアルパイン断層深部掘削プロジェクト(DFDP)でカッティングスの記載,検層データに基づきアルパイン断層上盤の岩相変化を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究の目標は、各種装置を導入しその立ちあげを行い、予備測定を開始するとともに、各主要研究フィールドについては予備調査を行うことが目的であった。導入した5つの装置(走査型プローブ顕微鏡、北海道大学; 非破壊急速冷凍装置、産総研; 小型カソードルミネッセンスシステム、新潟大学・大阪市立大学; フーリエ変換赤外分光光度計、大阪大学)についてはすべて立ちあげ実験が終了し、予備測定も開始されつつある。地質サブグループの上部地殻班は三重県や愛媛県の中央構造線の調査を開始し、いくつかの新知見を既に得たほか、地震性高速変形班も鳥取県西部地震地域で断層の予備調査を開始するとともに、もともと研究計画に含められていなかったが、2014年11月22日に生じた長野県北部地震を引き起こした神城断層についても地表地震断層の調査を行った。下部地殻班は、既存試料の微細構造解析を進め、研究成果を論文として公表した。地震観測サブグループは計画通りA01(応力班)の鳥取県西部地震震源域における地震観測を共同で実施しデータ収録を進めた。データは収録中であるため、鳥取県西部地域の既存データの再解析により震源・地震波速度構造を推定するとともに、発震機構解データの整理を行った。アルパイン断層深部掘削プロジェクト(DFDP)には本計画研究のメンバーが長期間参加し、本プロジェクトを推進するニュージーランドの研究者と計画研究B01に携わる研究者の間に、今後の研究協力の基礎を築くことが出来た。以上、今年度の研究は概ね順調に、当初予想していた通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
計画研究B01での大きな問題点は、分担者の数が多く、また4つの班に分かれて研究を行っているので、これら4つの班の研究が有機的にどのように繋がっていて、班間でどのような融合研究を行っていくべきかを明確にすることなしには計画研究B01を大きく推進させることは出来ないことである。今後の研究の推進のために最も重要な方策は、断層構造の発展過程・機構、発展に伴う強度の低下や地震の繰り返し発生過程・機構等、計画研究B01で解明すべき問題について、作業仮説(モデル)を構築し、モデルを検証するために4つの班の構成メンバーがどのような研究を行っていくべきか、継続的に議論することである。
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