研究領域 | 地殻ダイナミクス ー東北沖地震後の内陸変動の統一的理解ー |
研究課題/領域番号 |
26109005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 以知子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (40211966)
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研究分担者 |
武藤 潤 東北大学, 理学研究科, 助教 (40545787)
高橋 美紀 独立行政法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (40470033)
中谷 正生 東京大学, 地震研究所, 准教授 (90345174)
平内 健一 静岡大学, 理学部, 助教 (10633290)
大橋 聖和 千葉大学, 大学院理学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (70615525)
星野 健一 広島大学, 理学研究科, 准教授 (80190198)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 地殻応力 / 断層 / 粘土鉱物 / 高温高圧変形実験 / 沈み込み帯 / 下部地殻 / かんらん石 / 斜長石 |
研究実績の概要 |
(1) 内陸地殻の断層強度を知るために、中央構造線の断層構成物質の摩擦実験を行なった。予察的結果によると、最新滑り面の摩擦係数は 0.1 未満の低い値を示したが、より古い構造では摩擦係数は 0.6~0.7 程度で速度強化を示す。粘土鉱物の摩擦実験により,中~高速強度低下における断層帯の水理特性の重要性を明らかにした。また室内摩擦実験で得られた組織発達パラメータを用いて,天然の断層における長期的な強度変遷を見積もった。 断層流体の化学的特徴を解明するため,チリのアタカマ断層系の調査及び試料採集を行った。炭質物断層温度計を開発するために泥岩の加熱実験を行なった。実験後の炭質物の反射率測定とラマン分光分析から,短時間被熱履歴の解析が可能な速度則を導出した。 (2) 沈み込み帯深部の熱水条件下における断層強度を評価するために、かんらん石/斜方輝石の粉末試料をもちいて変形実験を行った。剪断応力はピークに達した後、顕著な歪軟化を示し、回収試料には剪断面に沿って選択的に滑石が生成していた。 速度状態依存 (RSF)摩擦則と摩擦面接触状態の比較から、従来の枠組みと矛盾する状態遷移挙動を発見した。高温高圧の熱水条件下で大変位摩擦試験を行なうために、新たな熱水式回転摩擦試験機の開発に着手し、圧力容器の熱応力解析を行なうとともにシステムの剛性を検討した。 (3) 下部地殻・マントルの変形特性解明のための技術開発を行なった。ガス圧変形試験機の温度範囲を1000℃ 以上まで拡大できるように、熱計算に基づいてヒーター・断熱材、温調回路、圧力容器等の改良を行なった。固体圧試験機における差応力決定精度を向上させるため試料アセンブリを改良し、応力校正則を構築した。斜長石のレオロジーにおける水の効果を定量化するために、下部地殻条件で人工多結晶体をもちいた変形実験を行なった。無水の人工試料に水を加える事で流動応力が20分の1程度まで低くなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた実験設備の整備は各実験拠点で行なわれ、変形実験装置の改良や新規の試験機の設計にも着手できた。いくつかの実験は準備段階で本実験に入る前に初年度を終えたが、反対に、当初計画になかった実験成果も得られた。海外連携研究者である C. J. Spiers 博士の日本訪問は相互の予定があわず実現しなかったが、8月アメリカで行なわれた Gordon 会議において議論をかわすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通りに遂行していく。中央構造線の断層試料を用いた摩擦実験は、まだ予察的段階であるため次年度も引き続き行なう。鳥取県西部地域の天然断層岩については、B01班による野外調査や試料採取はH27年度からになるため、実験はH28年度に延期する。ガス圧変形試験機については、産総研でヒーター改良の部材の入手が済んだ段階であり、H27年に高温テストを行なう。またその結果をふまえ、東北大でもヒーター改良を行なう。
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