計画研究
断層強度と下部地殻・マントルの非弾性変形を明らかにするために、以下の研究を行なった。(1)地殻内部やプレート境界断層における層状珪酸塩鉱物の摩擦特性を室内実験により調べた。室温下での石英/滑石混合ガウジの1面剪断摩擦試験では、滑石の含有量が増加するにしたがって摩擦係数が低下した。緑泥石の人工ガウジを用いた熱水摩擦試験では、広い温度範囲において 0.3 程度の低い摩擦係数をもち、安定滑り挙動を示すことを明らかにした。(2)中央構造線の断層岩の摩擦実験をその形成条件下で実施し、地殻浅部~深部までの断層強度分布とその変遷を明らかにした。地殻浅部で形成されたスメクタイトに富むガウジは低い摩擦強度を示すが,深部起源のガウジでは強度が高くなる。地殻中部で形成されたカタクレーサイトでは顕著な弱化は認められず、高い応力を支持していたと考えられる。室内実験で得られた剪断方向逆転時の媒質特性の変化を組み込んだ地震サイクルシミュレーションを実施し,地震の再来周期や規模への影響を明らかにした。さらに高温高圧条件での大変位摩擦試験をできるよう、回転式摩擦試験機の圧力容器を新たに設計開発した。(3) 地殻中部における流体を支配する要因として鉱物沈殿による割れ目の充填が考えられる。そこで高温高圧における鉱物の溶解度データから,H2O-NaCl系流体の見かけの比誘電率を定式化し,300~400℃における塩水からの鉱物沈殿の特異性を明らかにした。(4)固体圧変形試験機による下部地殻を構成するの斜長石の変形実験では、水の存在により降伏強度が1桁程度低下した。細粒の花崗岩類をもちいた脆性―塑性遷移条件付近での剪断変形実験では、降伏後に著しい歪軟化が見られ、微細組織観察から、黒雲母の底面すべりによると推察された。余効変動で重要な役割を示すかんらん岩の遷移粘弾性挙動をマスターカーブ法で検討した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 4件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 10件、 招待講演 1件)
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