計画研究
H27年度は以下の成果が得られた。1)パイロトーシスが周辺細胞へ与える影響の同定:パイロトーシスするマクロファージが周辺細胞へ与える影響を調べるため、パイロトーシスした細胞から放出された因子の同定を、培養上清および細胞内容物のプロテオミクス解析を行うことで行った。現在までに、切断されて培養上清に放出される可能性のある多数の因子を同定した。さらにそこから、カスパーゼ1によって切断を受ける因子をin vitro cleavage assayにより行いその機能解析を行っている最中である。これらはいずれもカスパーゼ1での切断は報告されていない新規因子である。またこれらの解析と並行して、パイロトーシス検出プローブSCAT1を用いた化合物スクリーニングも進行中である。2)ネクロプトーシス可視化プローブの開発:領域内の中野班との共同研究により、ネクロプトーシス可視化プローブの開発を行っている。これまでに、ネクロプトーシス時に構造変化を生じるFRETプローブを得ることに成功した。現在までにこのような報告はなく、新規性の高いプローブが開発できたと考えている。3)アポトーシス細胞が周辺組織に与える影響:マウス神経管閉鎖後に大量に生じるアポトーシス細胞が除去されない場合に生じる影響の同定に成功した。具体的には、神経冠細胞および神経上皮と表皮境界の細胞集団が凝集するこどで、脳構造の異常をきたすことを明らかにした。現在、この細胞集団の影響をより詳細に解析中である。
2: おおむね順調に進展している
領域のひとつの大きな目標である、死細胞から放出される因子(ダイングコード)の候補となりうる分子を、パイロトーシス細胞において多数同定しており、今後それらの機能解析により大きな進展が期待される。また、アポトーシスとパイロトーシス以外の細胞死のひとつである、ネクロプトーシスの可視化プローブの開発にも成功しつつあり、ネクロプトーシス動態の予想外の動きも見えつつあり、今後さらなる展開が期待される。同時に、in vivoにおけるアポトーシスの新たな役割も神経間閉鎖過程で見出しつつあり、今後の展開が期待できる。
本年度は以下の点にさらに注力し研究を推進していく。1)パイロトーシスしたマクロファージから放出される因子の機能解析マクロファージにおいて、カスパーゼ1により切断されr放出される因子の機能解析を培養細胞系等で行う事で、ダイングコードとしての役割を明らかにする。また、パイロトーシス阻害化合物を複数同定しているので、それらの関与様式も解明していく。2)マウス神経管閉鎖時に生じるアポトーシス細胞の性質をより詳細に同定し、さらにそれら死細胞が脳発生に果たす役割も明らかにする。3)非アポトーシス性の細胞死の分子機構とその意味を明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件)
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