計画研究
本研究では、死細胞貪食に伴うマクロファージによる免疫制御機構、およびマクロファージ研究から派生した好中球のNET形成の分子機構について、引き続き研究を進めた。1.マクロファージによる死細胞の認識機構: 死細胞由来因子によるCCL8産生促進の分子機構の解析を進めた。死細胞培養上清および各種臓器の抽出液中に存在するCCL8産生促進因子の精製を進めたところ、各種の分析により、この因子の少なくとも一部が、分子量1000前後のペプチド様分子である可能性を見いだした。これとは別に我々は、組織傷害の回復期に骨髄で産生される新規単球サブセットを同定した。この単球は、回復期の組織に浸潤し、炎症の抑制と組織修復を促す役割をになっていることを見いだした。さらに、傷害組織の局所では死細胞貪食に関与する分子を高発現することを見いだした。2.NET形成の分子機構:我々はこれまでに、ネトーシスを制御する作用を有する化合物を探索し、スルファサラジンおよび4-アミノビフェニルスルホンが、細胞内の脂質過酸化を亢進し同細胞死を亢進することを見いだした。袖岡班との共同研究により、これらの化合物の誘導体を作製することで構造活性相関を明らかにし、さらにこれらの化合物の標的の候補分子を同定した。また、ネトーシスを抑制する複数の化合物を発見し、袖岡班、佐藤班とともに構造活性相関の解析を行った。3.肝細胞死共同研究プロジェクト 引き続き、田中稔班と共同で、肝マクロファージの動態の解析を行った。我々が作製したCD169-DTRマウスおよびCD204-DTRマウスを用いて、種々の肝障害モデルにおけるマクロファージサブセットの役割を解析した。さらに、我々が新しく樹立したYm1-DTRマウスおよびYm1-Venusマウスを用いた解析により、肝障害モデルの種類によって、Ym1陽性単球の出現率が異なることを見いだした。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Blood
巻: 133 ページ: 1222-1232
10.1182/blood-2018-11-888180
J Immunol
巻: 201 ページ: 635-51,
10.4049/jimmunol.1800040.
Sci Immunol
巻: 3 ページ: eaat0207
10.1126/sciimmunol.aat0207.
Biochem Biophys Res Commun
巻: 505 ページ: 453-9
10.1016/j.bbrc.2018.09.128.
J Biochem
巻: 164 ページ: 77-85
10.1093/jb/mvy050.