研究領域 | 細胞死を起点とする生体制御ネットワークの解明 |
研究課題/領域番号 |
26110007
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
田中 稔 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 細胞療法開発研究室長 (80321909)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 細胞死 / 肝臓 / 再生 / 幹細胞 / 線維化 |
研究実績の概要 |
肝臓は傷害に対して高い再生能を有するが、受ける傷害の種類によって、その後の再生様式が異なる。また、慢性的な傷害を肝臓が受けると、肝線維化が進行し、肝機能の低下を引き起こすのみならず、肝癌の発生母地となりうる。本研究では様々な肝傷害系における肝細胞死の様式と放出因子(ダイイングコード)の違いを精査し、肝再生に寄与する因子を有益なコード、肝線維化を誘導する因子を有害なコードと位置づけている。それらの実体を明らかにすることで、肝再生や肝線維化の制御機構の解明および治療標的となる分子の探索を目指している。 本年度に得られた業績は以下の通り 1.様々な肝傷害モデルマウスに対して肝組織の切片作製や血清検査等を行なうとともに、新しく開発した壊死を検出する方法を用いて、肝傷害モデルと細胞死の様式との関連性について、一定のプロファイリングを終えた。 2. 肝線維化に関わる因子としてセマフォリン3e(Sema3e)を同定し、その機能を明らかにした。 3. 肝幹/前駆細胞による肝再生に関わると考えられる新規液性因子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝細胞死によって産生されるダイイングコードとしてSema3eを同定し、それが肝線維化に関わることを見出し、その結果を論文にまとめることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
肝幹/前駆細胞による肝再生に関わるダイイングコードと考えられる新規液性因子について、そのKOマウスを用いた実験やin vitro培養実験により解析を進める。また、肝線維化に関わるダイイングコードの探索や線維化に至るメカニズムの解析も引き続き行なう。 傷害の種類と細胞死の様式とのプロファイリングを終えた肝傷害モデルを用いて、計画通り、特定の細胞死に対して抵抗性を示す遺伝子改変マウスや阻害化合物を組み合わせることで、再生や線維化における細胞死の意義を明らかにするための領域内での共同研究を加速させる。
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