本研究では細胞死がその病態に関わる家族性疾患をモデルとして、その遺伝子変異がどのような分子基盤で細胞死誘導に依存した生体応答を惹起しているかについて解明することを目的とした。以下の研究を平成29年度に実施した。(1)家族性寒冷蕁麻疹の新しい原因遺伝子としてNLRC4を同定した。変異NLRC4を過剰発現するトランスジェニックマウスでは関節炎や皮膚炎が観察され、IL-1bあるいはIL-18のいずれかの欠損によって炎症は顕著に改善することが明らかになった。また、両者の欠損では炎症はほぼ完全に消失した。IL-18がどのような細胞に作用して炎症を引き起こしているかについての検討を進め、IL-18受容体発現細胞、およびその作用機序についての検討を進めている段階である。(2)NLRC4変異によってマクロファージ活性化症候群が発症することも知られていることから、NLRCC4変異がどのような機序によりマクロファージ活性化症候群の発症に関与するかについて検討している。(3)NLRC4の活性を制御することが出来る分子経路を見いだすために、各種阻害剤を用いてNLRC4の活性を制御することが出来る阻害剤を検索した。その結果、3種類の阻害剤でNLRC4の活性を上昇させることができた。阻害剤の作用点についての検討を進めている段階である。(4)肝細胞死モデルを用いてNLRC4の役割について領域内の共同研究をすすめている。(5)細胞死を制御する経路と各種の遺伝性疾患の関係性について、動物モデルを用いることによって検討を進めている。
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