計画研究
本研究では、システインのイオウ付加体であるシステインパースルフィドをはじめとする活性ポリスルフィドの生理機能に注目し、メタボローム解析手法(ポリサルファメタボローム)を駆使して、動物および植物における活性イオウ・ポリサルファ系のユニークな抗酸化制御システムの全貌を解明することを目的としている。本年度は、ポリスルフィド系活性イオウ分子種の生体内生成動態の解析と活性イオウ分子種により制御される抗酸化シグナルの分子機構の解析を行った。活性イオウ分子種の動態解析では、まず、アルキル化試薬としてモノブロモビマンおよびヨードアセトアミド誘導体を用いた高感度タンデム質量分析計(LC-MS/MS)による各種ポリスルフィドの検出・同定システムの開発に成功した。この検出システムを用いた精密な定量解析により、ヒト肺がんA549細胞などの培養細胞やヒトやマウスの各種臓器,血液中に多様なポリスルフィド化合物が様々なレベルで存在することを明らかにした。特にグルタチオンパースルフィドは100μMを超える高い細胞内濃度で存在することが分かった。さらに、培養細胞を用いた実験から、生体内ポリスルフィドの生成はシスタチオニンβ-シンターゼ(CBS)およびシスタチオニンγ-リアーゼ(CSE)に依存することが確認された。また、ポリサルファ化合物の抗酸化作用として、グルタチオンパースルフィドなどの活性ポリスルフィドが、過酸化水素を分解・消去する強力な抗酸化活性を有すること、および活性酸素シグナルのセカンドメッセンジャーである8-ニトロ-cGMPと速やかに反応して8-SH-cGMPへと代謝・変換することを明らかにした。8-SH-cGMPの生成は培養細胞や各種組織試料でも確認され、CBSおよびCSEの酵素活性に依存することが示された。
2: おおむね順調に進展している
計画どおり、モノブロモビマンおよびヨードアセトアミド誘導体を用いたLC-MS/MSによるポリサルファメタボローム解析系の構築に成功し、各種生体試料のポリサルファ化合物の定量解析を行うことができた。活性イオウ分子の抗酸化能についても詳細な解析を行った。ほぼ研究実施計画どおりに研究を推進、成果を得ることができたと考えられる。
これまでのところ、ほぼ当初の研究実施計画に沿った成果が得られており、計画変更を要するような研究上の問題はない。本年度までの成果を踏まえながら、次年度以降も当初の計画どおりに研究を推進していく。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (29件) (うち査読あり 17件、 謝辞記載あり 17件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 9件) 備考 (1件)
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