研究領域 | 酸素を基軸とする生命の新たな統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
26111008
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
赤池 孝章 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20231798)
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研究分担者 |
上原 孝 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00261321)
渡辺 泰男 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (10273228)
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
朽津 和幸 東京理科大学, 理工学部応用生物科学科, 教授 (50211884)
井田 智章 東北大学, 医学系研究科, 助教 (70570406)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 活性酸素 / 代謝 / ケミカルバイオロジー / メタボローム / 抗酸化 |
研究実績の概要 |
本研究では、システインのイオウ付加体であるシステインパースルフィドをはじめとする活性ポリスルフィドの生理機能に注目し、メタボローム解析手法(ポリサルファメタボローム)を駆使して、動物および植物における活性イオウ・ポリサルファ系のユニークな抗酸化制御システムの全貌を解明することを目的としている。昨年度までの研究において、高感度タンデム質量分析計(LC-MS/MS)による各種ポリスルフィドの検出・同定システムの開発に成功し、ヒトおよびマウスの生体内に様々なポリスルフィドが各種レベルで存在し、抗酸化シグナル制御に関わることを明らかにしてきた。本年度は、細胞内ポリスルフィド生成機構の詳細な解析とタンパク質ポリサルファ化(ポリチオール化)の解析を行った。これまでに、細胞内ポリスルフィド生成系としてシスタチオニンβ-シンターゼやシスタチオニンγ-リアーゼの関与を明らかにしてきたが、新規ポリスルフィド検出・同定システムによる詳細な解析の結果、タンパク質翻訳に共役した新規ポリスルフィド生成系の存在を見いだした。この新規ポリスルフィド生成系は大腸菌から哺乳類細胞まで保存されており、これら生物の細胞内における主要なポリスルフィド産生系として機能していることが示された。さらに、この新規ポリスルフィド生成系は、システイニル-tRNAにポリスルフィドを導入することにより、タンパク質翻訳に共役して様々なタンパク質のポリサルファ化に関わることが分かった。これらのことから、翻訳に共役した新規ポリスルフィド生成系が細胞内ポリサルファ動態およびタンパク質ポリサルファ化の制御に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規ポリスルフィド生成系の発見があり、その役割の解明のための追加実験を行ったが、そのために本研究の当初目的の一つである生体内活性イオウ・ポリサルファの生成機構の解明に関する知見をさらに深めることができ、研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の当初目的に照らして、研究遂行の上での問題はなく順調に研究が進展している。今後は、新しく発見したポリスルフィド生成系の役割の解明を中心として、当初計画どおり、動物および植物における活性イオウ・ポリサルファ系のユニークな抗酸化制御システムの全貌解明に向けた研究を推進していく。
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