計画研究
刺激応答型ROS生成酵素NADPHオキシダーゼ(Nox)の時空間的制御機構を解明するために、高解像度の共焦点レーザー顕微鏡および生化学的細胞分画法などを用いて、種々の培養細胞においてNoxの細胞内局在を解明するための優れた方法を本研究により確立してきた。これらの方法を用いて、Noxファミリーオキシダーゼ(ヒトではNox1~Nox5、Duox1、Duox2の計7分子種が存在)の細胞膜への輸送に関して、以下のことを明らかにした。(1)Nox2およびNox3は、小胞体(ER)からCOPII小胞としてゴルジ体に輸送され最終的に細胞膜に至る古典的経路(低分子量Gタンパク質Sar1およびt-SNAREタンパク質Stx5に依存)で細胞膜へ輸送される。(2)Nox5の細胞膜への輸送は、主としてSar1にもStx5にも依存しない新規な経路により行われる。(3)Nox1は、Sar1/Stx5依存性および非依存性経路の両者により細胞膜に輸送される。Sar1/Stx5非依存性経路においては、おそらくゴルジ体を経ずに輸送されると考えられる。(4)上皮系細胞においてNox1およびNox2は細胞膜の中でもapical膜に特異的に輸送されるが、この輸送にはNoxパートナータンパク質が必須の役割をはたす。(5)Duox1およびDuox2も上皮系細胞においてapical膜に特異的に輸送されるが、この過程はそれぞれのDuoxパートナータンパク質に依存する。一方、Noxの哺乳類細胞における新規な機能に関しては、Noxが生成するROSがprotein disulfide isomerase(PDI)と協同して他のタンパク質の正確なジスルフィド結合形成に関与することを明らかにしたが、「Noxが生成するROSがジスルフィド結合形成に直接関与しうることを示した」のは世界で初めての例である。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cytoskeleton
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
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