研究領域 | 酸素を基軸とする生命の新たな統合的理解 |
研究課題/領域番号 |
26111010
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
伊東 健 弘前大学, 医学研究科, 教授 (10323289)
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研究分担者 |
鈴木 隆史 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70508308)
濱崎 純 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (80533588)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | Nrf2 / Keap1 / ATF4 / プロテアソーム / ミトコンドリア / 活性酸素 / 酸化ストレス / プロテオスタシス |
研究実績の概要 |
1.酸素ストレスで活性化する転写因子ネットワークの解析 1) Nrf2と相互作用する因子GCN1L1の機能をGCN1L1 KO MEFを用いて解析したところ、GCN1L1 KO はGTP結合タンパク質であるDRG2のタンパク質量低下を伴うG2-Mアレストを起こすことを明らかにした。2) 転写因子Nrf2の制御因子であるKeap1の酸化ストレスセンサーの解析を進めた。過酸化水素に応答してNrf2の活性化を引き起こすのに必要なKeap1の鍵センサーシステイン残基に変異を導入したマウスの作製に成功した。 2.プロテアソーム機能と酸化ストレスのクロストークの解析 転写因子Nrf1活性化因子として同定したDDI2のIn vivoでのDDI2活性モニター系の作成に成功し、これを用いた化合物スクリーニングの準備を進めている。また、新規ユビキチン結合タンパク質(CG5445)が生体内での易凝集性タンパク質の分解に重要であることを見出した。 3. ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)の抗老化に関する機能解析 ヘムオキシゲナーゼのKOマウスでは、ヘムオキシゲナーゼ遺伝子領域によりREP(Red fluorescent protein)が挿入され、HO-1遺伝子発現領域によりRFPを発現する(HO-1-RFP ノックインマウス)。このマウスとNrf2 KOマウスおよびKeap1 KDマウスとの複合トランスジェニックマウスを作成することによりRFPを定量解析すると、このHO-1-RFP ノックインマウスはNrf2の活性化を定量化するのに有用なマウスであることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
それぞれの研究開発領域において、順調な研究の進展が見られるが、ヘムオキシゲナーゼの解析が遅れているので解析を急ぐ。全体としておおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
GCN1L1がミトコンドリアタンパク質と相互作用することが明らかになりつつあるので、急いで詳細を明らかにし、タンパク質合成制御とミトコンドリア制御のクロストーク機構を明らかにする。過酸化水素の感知に重要なKeap1のセンサーシステイン残基に変異を導入したマウスを用いて、Keap1-Nrf2系による酸化ストレス応答の欠失が与える影響についてマウス個体レベルの解析を進める。CG5445のヒトオルソログc6orf106についてハエと同様の機能を持つのか、より高度な生理機能においての役割を果たすのかを検証する。また、DDI2 を活性化する化合物の同定を速やかに行う。
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