計画研究
我々の研究グループは、遺伝子操作を利用して神経回路を操作・改変する新規技術の開発を進めてきた。本研究では、我々の遺伝子改変技術をさらに発展させ、第一に、神経回路の経路選択的な活動制御を目的に、光や化学物質に応答する膜タンパク質を目的の神経路に導入し、任意の時期に活動を調節する新しい技術（光遺伝学および化学遺伝学）の開発に取り組み、第二に、学習のプロセスに伴って回路が機能シフトをおこす神経機構について、大脳皮質―基底核ループを介するメカニズムの解明に取り組むことを目的にしている。本年度は、ラット自由行動下での聴覚弁別学習課題の獲得、実行および逆転学習課題の条件を確立した。さらに、課題中の直接路・間接路ニューロンの活動を記録のために、内視鏡を用いたカルシウムイメージングの実験系を確立した。今後、このシステムを利用して、弁別課題中の線条体ニューロンタイプの活動パターンを明らかにする計画である。また、細胞種特異的な化学遺伝学による経路選択的な活動制御のため、ウィルスベクターとレポーターラットを利用して、線条体の直接路・間接路細胞において昆虫イオン透過型受容体あるいは線虫イオンチャネル遺伝子を発現させる実験系を確立し、外来リガンドの投与によって行動を制御することに成功した。また、PET解析によって、聴覚弁別学習の獲得過程において活動の変化する前部および後部の線条体領域の機能抑制により、それぞれの領域が学習の異なるフェーズに必須の役割を持つことを証明し、学習プロセスにおいてこれまで知られていなかった線条体内の機能シフトのメカニズムの存在することを見出した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)
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