研究領域 | 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 |
研究課題/領域番号 |
26112003
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
尾上 浩隆 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, グループディレク ター (80214196)
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研究分担者 |
林 拓也 独立行政法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, ユニットリー ダー (50372115)
疋島 啓吾 沖縄科学技術大学院大学, 実験動物支援セクション, スペシャリスト (30420219)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 標準脳 / VBM / MR microscopy / 拡散強調 / 安静時脳機能ネットワーク / 拡散テンソル |
研究実績の概要 |
非侵襲的脳構造・機能ネットワーク解析の基盤技術を確立するために、平成26年度は、マカクサルを対象として専用高感度コイルシステムを開発するとともに、長時間安定した撮影実験を行うための麻酔・呼吸管理法、生理モニタリングシステムを確立した。また、神経突起(軸索および樹状突起)の微細構造の評価を行うための高空間分解能の拡散強調画像法や、安静時大規模脳ネットワークを評価するための高時間分解能の機能的MRI法の撮像シーケンスを開発・最適化を進めた。さらに、マカクサルの高解像度拡散強調画像とT1強調画像を用いて拡散テンソルを最適化することで神経突起の微細構造情報に基づいた高分解能でマルチモーダルな標準脳テンプレートを作成し、3次元画像統計や表面解析・表示のパイプラインも構築した。今後、論文化と共にテンプレートやスクリプトを海外で汎用される神経画像データベースに公開する予定である。 遺伝子導入マウスを対象として脳微細構造の研究を進めるために、7テスラの高磁場MRIと超高感度コイルシステムを導入し、80μmの等方性分解能 を有したMicroscopic MRIを可能とした。そして、高分解能の標準脳テンプレートを作成し、マウスの画素毎形態評価法(VBM)を確立した。この方法により、近交系マウスの系統間の脳形態差をVBMによって明らかにした。開発したテンプレートは神経基盤情報の1つとして普及促進を考え、論文化と併せてWebにて公開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際基準のフォーマットとして国際標準となっている各種解析法(3次元画像解析であるSPMやFSL、脳表面解析のCaretやfreesurferなど)に対応したマカクの標準テンプレートを、当初計画した以上に高解像度、高画質で作成できた。また、マウスを対象にした先進的な脳画像解析法を適用するために重要な基盤となる標準脳テンプレートを作成した。これによりマウスの画素毎統計解析法(VBM)が実施可能となり、様々なモデルマウスにおけるイメージングフェノタイプ解析への展開が期待できる。今後、論文化と共にテンプレートやスクリプトを海外で汎用される神経画像データベースに公開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
特に計画の変更はないが、拡散強調画像を用いた神経突起イメージングによる脳可塑性解明の研究を展開できる基盤が整ってきたが、研究組織として予算・人員が不足するなかで、安静時機能的MRI画像法の開発と機能的ネットワークの評価法の確立を急ぐ。開発したマウスVBM手法を遺伝子改変による神経変性疾患モデルに適用するとともに、組織学的な解析により本手法の有用性、信頼性を検証する。また、マウスにおいてもVBMに加え、標準脳テンプレートを適用した拡散強調画像の解析を行い神経構造連絡の網羅的な解析法を展開する。
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