研究領域 | 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 |
研究課題/領域番号 |
26112003
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
尾上 浩隆 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, チームリーダー (80214196)
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研究分担者 |
水間 広 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, 研究員 (00382200)
疋島 啓吾 沖縄科学技術大学院大学, 実験動物支援セクション, MRIスペシャリスト (30420219)
崔 翼龍 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, ユニットリーダー (60312229)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 機能イメージング / fMRI / PET / 無麻酔 |
研究実績の概要 |
行動適応を担う神経回路の機能シフト機構を理解するためには、非侵襲的手法による時系列観察や、膨大かつ複合的なデータ収集と推定精度と感度の高い多次元解析によって、機能的ネットワークの動的変化と因果性を明らかにすることが重要である。本研究班ではPETおよびMRIによる非侵襲イメージング法を用いて、遺伝子改変モデルマウスや非ヒト霊長類であるマカクサルにおける機能的神経回路網を解析するためのイメージング基盤技術を開発し、学習や発達の段階で遷移する神経回路や脳・脊髄損傷後の機能代償に関する回路の特定を目指している。平成29年度は、これまでに確立した無麻酔、覚醒状態下の超高テスラ(11.7T)の磁気共鳴画像法(MRI)および陽電子放出断層撮影法(PET)を用いた機能的イメージング法を用いて発達障害モデルマウスの神経ネットワーク解析を行った。発達障害モデルとしては、poly(I:C)を用いた偽ウイルス感染による母体免疫活性化(MIA)による自閉症モデルを妊娠12.5日目のマウスにpoly(I:C)(20mg / kg)を腹腔内注射することによって作成し、MIAモデルマウスは社会的接近テストにおいて有意な行動異常を示したことから行動表現型発現の根底にある機能的ネットワークの解析に着手した。その結果、安静期機能的MRIの解析において、社会的行動異常を伴うMIAモデルマウスの一次体性感覚皮質の異顆粒帯(dysgranular zone of the primary somatosensory cortex 、S1DZ)と関連する歯肉および二次運動皮質との間に正常な対照群よりも強い機能的結合性が認められた。このような機能的結合の変化がMIAモデルにおける異常行動の出現に関係している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに確立した無麻酔、覚醒状態下の超高テスラ(11.7T)の磁気共鳴画像法(MRI)および陽電子放出断層撮影法(PET)を用いた機能的イメージング法を用いた機能的ネットワークの解析の応用として、高次機能における神経回路の機能シフトに関わる研究として、ウイルス感染による母体免疫活性化(MIA)による自閉症マウスモデルの解析を着手し、ネットワーク異常の一端を明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今回、MRIによる非侵襲イメージング法を用いて明らかになった自閉症モデルマウスにおける機能的神経ネットワークについて、今後、発達過程やオプトジェネティクスによる特異的ネットワークの介在による影響(領野間結合性の変遷)を詳細に解析する。また、特異的な神経伝達と安静時機能的ネットワークとの基礎的な関係について、遺伝子改変動物を導入しオプトジェネティクスによる解析を進める。
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