研究領域 | 行動適応を担う脳神経回路の機能シフト機構 |
研究課題/領域番号 |
26112004
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
小池 康晴 東京工業大学, ソリューション研究機構, 教授 (10302978)
|
研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
|
キーワード | 神経科学 / リハビリテーション / モデル化 / 解析・評価 / モデル化 |
研究実績の概要 |
本研究では、数理モデルを用いた解析技術を学習の発達の過程での回路の変遷や損傷・障害からの回復における回路の再編に関与する神経機構を明らかにする研究に応用することを目的としている。このとき、身体のダイナミクスを考慮に入れた筋骨格系モデルを用いて、脳活動と運動データとを関連づけ、因果関係を特定することを目指している。 本年度は、大規模データ解析手法の開発では、タスクを実行中の運動関連領野の情報表現とそのデータを変換するアルゴリズムを解析するために、脳波から信号源を推定し信号源からタスクのパラメータを推定するデコーダの重みを解析することで、領野間のネットワークを解析する手法を開発した。解析の結果、タスクに関連していると思われる所から、脳の広い領域に関係する部位が広がっていることが分かった。脳のどこでどのような情報が表現されているかを解析するためにも有効な手段であるといえる。 また、多自由度腕のダイナミクスモデルを用いて力場を学習する前後で、内部モデルに相当するモジュールである、順モデルの予測、フィードバックコントローラの出力、逆モデルの出力などの運動関連パラメータがどのように変化するのかを解析した。制御対象や環境の事前知識を必要とせず、軌道と力を同時に学習できるモデルであるため、このような複雑な環境におけるシミュレーションが可能となった。その結果、内部モデルに相当するモジュールは力場の状態を学習していることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非侵襲計測手法である脳波から信号源を推定し、筋活動や運動の推定を試みてきたが、精度よく運動パラメータが推定できることから、推定に使用したデコーダの重みを解析することで空間分解能の高い情報を獲得することができた。さらに、力場の学習のような複雑な環境かにおいても、我々のモデルが適用できることが分かったため、今後、より複雑なタスクにおいても検証できる可能性が出てきた。
|
今後の研究の推進方策 |
現在は、計算モデルが実際の運動学習の前後においてどのように変化しているのかを解析している段階である。また、実際の脳波信号を計測し、その解析を行っている。今後は、タスクの前後でどのように脳が変化したかを解析し、モデルの予測と同様の変化が起きているかを確認していく。
|