計画研究
本年度は神経回路の静的な解析を目的に、まず大脳皮質―基底核―視床ループの各ニューロンにおいて、ウイルスベクターおよびプラスミドベクター等を用いた単一神経細胞およびその投射様式の解析を行うための環境を立ち上げ、データを取り始めた。具体的にはP2実験室を立ち上げ、整備した。第二に、スライス標本を用いたパッチクランプ細胞記録を行うための実験機器および環境を整備し、データを取り始めた。また、ラットおよびマウスの大脳皮質・基底核・視床の各領域におけるリアルタイム計測マルチニューロン記録を行うための研究環境を整備し、データを取り始めた。
2: おおむね順調に進展している
研究機器は整備できつつあるが、2月にキャンパスの移転に伴い、実験ができない期間があったため、若干の遅れが生じている。
研究代表者(藤山)は、昨年に引き続きウイルスベクターおよびプラスミドベクター等を用いた単一神経細胞の完全可視化技術を用いて、大脳皮質―基底核―視床ループを担うニューロンの投射様式を解析する。さらに、逆行性標識実験と蛍光多重免疫細胞化学染色を組み合わせ、各ニューロンの神経化学的な性質を同定しておく。研究分担者(窪田)は、神経回路の結合特異性を解析するために、傍細胞記録で電気生理学的所見が取れたニューロンの投射先のシナプス結合を三次元的に解析するための電子顕微鏡解析法を確立する。研究代表者(藤山)と連携研究者(苅部)は、平成27年半ば頃まで上記で同定した大脳皮質・基底核・視床の各ニューロンを含むスライス標本を作製し、これらのニューロンの電気生理学的性質および形態学的な特性を同定する。また、このスライス標本を用いたパッチクランプ細胞記録により、シナプス結合するペアのニューロンを同定し、ニューロンのペア記録と逆行性標識を組み合わせて、この両者が相互結合回路を形成しているかどうかを検証する。平成27年の後半期から、研究代表者(藤山)、連携研究者(苅部)および研究分担者(窪田)は、麻酔下のラットの大脳皮質・基底核・視床の各ニューロンの傍細胞記録と、そのニューロンが発現する受容体の同定を光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルで同定する。さらに連携研究者(高橋)が無麻酔・自由行動中のラットの大脳皮質・基底核・視床の各ニューロンのリアルタイム計測マルチニューロン記録を開始する。運動学習の獲得から習熟まで、ステップ毎に解析し、その変化との相関について検証するまた、運動学習の各ステップ(獲得期や熟練期)の動物に脳深部刺激や光遺伝学実験による神経回路操作を行い、そのニューロフィードバックによる影響を個別に解析する事で、機能シフトを担う責任回路を検証する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 2件)
Clinical Neuroscience
巻: 1 ページ: 1
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