計画研究
脳・脊髄損傷後機能回復過程における大規模神経回路の活動記録を行うために、多チャンネル(192ch)のマカクザル片側全脳記録用のECoG電極をデザインした。また、東京大学の関野准教授らのグループと連携し、MRIと同期記録用の柔軟なECoG電極をデザインし、MRI記録環境下でのダミーでの記録、そして麻酔下のサル脳での刺激・記録条件の検討を行った。一方で、脊髄部分損傷サルの機能回復過程における脊髄固有ニューロン(PN)の寄与を明らかにするため、ウィルスベクター2重感染によってPNの信号伝達を可逆的に抑制するシステムを用い、PNを遮断したまま脊髄損傷を行うと回復が不完全なままに終わること、一方で、機能回復後PNを遮断すると再度手指の巧緻運動が障害されることから、機能回復にPNが重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、特定回路の機能を操作する実験手法の開発として、逆行性ウィルスベクターNeuRetにMSCV-Creを搭載し、投射先に注入、細胞体の位置にAAV-DJ-flex-ChR2-YFPを注入し、経路選択的にチャネルロドプシンを発現させ、経路選択的に光遺伝学的活性化を行う手法を開発した。そしてこの手法をマウスの上丘出力系に適用し、特異的な行動(指向運動または逃避行動)を誘発することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
全脳的ECoG電極の開発、MRIとECoGの同時記録システムの開発は概ね想定どおりに進捗している。また、技術開発でも、ウィルスベクターのみによる経路選択的活性化手法の開発にマウスで成功し、今後サルへの応用に進みつつある。これらもほぼ想定どおりの進捗である。
2年目になる平成27年度は、大規模ECoG記録を実際にサルにおいて行い、上肢の到達-把持運動や視覚誘導性サッケード運動遂行時の脳活動のダイナミクスを解析する手法を確立する。その後、実際にこの手法を用い脊髄損傷や一次視覚野損傷後の回復過程を追跡していきたい。そして、ウィルスベクターを用いて特定の回路を操作した場合の脳全体のダイナミクスの変化とそれが行動に与える影響を解析し、大規模回路のモデルを構築したい。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (32件) (うち招待講演 8件) 図書 (2件)
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