研究領域 | ノンコーディングRNAネオタクソノミ |
研究課題/領域番号 |
26113004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塩見 美喜子 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20322745)
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研究分担者 |
大野 睦人 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80201979)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | ncRNA / 細胞内局在 |
研究実績の概要 |
【塩見グループ】Piwiは核移行シグナルを保有するが、piRNAと結合してはじめて核へ移行する事が判っている。しかしこの制御機構の分子メカニズムは不明である。Piwiの核移行に重要な因子の同定を試みたところ、importin aがPiwi-piRNA複合体の核移行に重要であることが判明した。ショウジョウバエは3つのimportin a遺伝子を発現する。興味深いことに、1、2、3いずれのimportin aを欠失した場合でも、Piwiの核移行に影響があらわれた。各importin aに対するモノクローナル抗体の作成をすすめたところ、importin a1と3に対する抗体は得られた。TnTで作成したPiwiにはimportin a1とimportin a3が結合することが判った。TnTにはpiRNAがないことから、少なくともin vitroではimportin a1と3はpiRNAに結合していないPiwiにも結合する能力があるといえる。細胞内ではpiRNAに結合していないPiwiにはimportin aには結合しないと考えられる。つまり細胞内にはpiRNAに結合していないPiwiとimportin aの結合を阻害するタンパク質が存在する可能性が示唆された。現在、その因子の同定を試みている。マウスNeat1_1 RNAを約150塩基長の断片に分割しU1 RNAとのキメラを作った。それらの輸送阻害活性をツメガエル卵母細胞核へ顕微注入の系で検定したところ、核外輸送が強く阻害される断片が複数見つかった。これにより、Neat1_1 RNAは複数の核外輸送阻害エレメントを持つことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画に沿って実験をすすめることが出来たのみならず、論文発表することができた。また、piRNAに関する総説も学術雑誌から執筆の依頼を受けた。学会発表も滞り無く行なった。招待講演の依頼も複数受けた。U1 RNAとキメラを作ることによりRNAの安定性を確保することが可能となり、核外輸送阻害エレメントを同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
Yb bodyの構成因子を網羅的に同定し、その機能解析をすすめると共にYb body形成における上下関係を調べる。一旦SoYbモノクローナル抗体は作成できたが、isotypeがIgMで生化学的な実験には不向きであった。そこで再度SoYbモノクローナル抗体の作成をすすめている。マウスは既にSoYbに対して反応性を示しているため、近々hybridoma作成にとりかかる。SoYb抗体が入手できたのであるならば、その抗体を用いて免疫沈降を行い、Yb bodyの新規因子の同定をこころみる。各因子をRNAiした条件下で免疫染色を行い、因子のYb body形成におけるヒエラルキーを解析しつつあるが、これを続投する。細胞内にはpiRNAに結合していないPiwiとimportin aの結合を阻害するタンパク質が存在する可能性が示唆された。この因子の同定をすすめる。同定されたあかつきには、その因子の機能解析をすすめる。輸送阻害がみられた複数の断片同士の交差競合実験を行うと共に、イントロン配列など既知の核内保持配列との競合実験を行い、核内保持活性の分類を行う。また、これらの断片がmRNA等他のRNAの核外輸送を阻害するかどうかを検定する。さらに、これらの断片に結合しRNA核外輸送を阻害する因子群の生化学的同定を試みる。
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