計画研究
昨年度までの研究において、UVクロスリンクの効率の差によって機能性長鎖ノンコーディングRNAと非機能性長鎖ノンコーディングRNAを分類することができることが明らかとなった。今年度は機能性長鎖ノンコーディングRNAの候補群をさらに分類するために、液ー液相分離によって形成された高次複合体を比較的特異的に壊すことが知られている1,6-ヘキサンジオール(HEX処理)への感受性を調べた。既知の機能性長鎖ノンコーディングRNAは、天然変性領域を持つタンパク質と複合体を形成し、その複合体が液ー液相分離を起こして核内構造体を形成すると考えられている。実際、HEXで細胞を処理すると、Neat1が骨格となって形成されているパラスペックルは速やかに消失する。この条件下でUVを照射し、フェノール・クロロホルム処理後の水層から回収されるNeat1の量をqRT-PCRによって定量したところ、HEX処理によって水層からのNeat1の回収量が回復することが明らかとなった。さらに水層から回収したRNAをRNAseqによって解析し、得られた結果をtSNEを用いて遺伝子ごとにグループ分けしたところ、タンパク質をコードするmRNAを多く含むグループと長鎖ノンコーディングRNAを多く含むグループの二つに大別できることが明らかとなった。既知の長鎖ノンコーディングRNAはmRNAを多く含むグループに分類されており、特に核内で構造体を形成する長鎖ノンコーディングRNAはコンパクトにまとまった領域に集中して分布していた。これらのことから、UV照射への感受性とヘキサンジオールの感受性を用いることで、これまで一括して捉えられていた長鎖ノンコーディングRNAを生化学的な性質に基づいて複数のグループに分類できることが明らかとなった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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