研究領域 | ノンコーディングRNAネオタクソノミ |
研究課題/領域番号 |
26113008
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
淺原 弘嗣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70294460)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | ncRNA |
研究実績の概要 |
本研究では「non-coding RNA (ncRNA) ネオタクソノミ」の確立を目的とし、ハイコンテンツ顕微鏡、GFPタグ遺伝子ライブラリー、ターゲットクロマチン免疫沈降法などの新しい技術、戦略を開発・導入し、これらシステムを領域内で共有することで、既知ncRNAタクソンの拡張、新規ncRNAタクソンの探索およびそれぞれのncRNAタクソンが作る複合体の同定と細胞内挙動の解析を進めている。 1、ハイスループット&ハイコンテンツ顕微鏡の顕微鏡観察技術の確立 平成26年度においてはハイスループット&ハイコンテンツ顕微鏡の開発を進め、さらにスクリーニング解析を行った。実際にはGFPタグ遺伝子ライブラリーを用いて特にRNA関連タンパク質に着目して各タンパク質の炎症刺激下における細胞内挙動についてスクリーニング解析を行い、炎症刺激下において細胞内で構造体を取るタンパク質を同定した。 2、遺伝子編集技術TALE/ CRISPR-Cas9システムのncRNA機能解析への最適化 平成26年度においては主にncRNAのLoss of function解析を目的にTALE/CRISPR-Cas9システムを用いてssDNAを用いたノックイン技術を確立し、ncRNA配列中にpolyA配列などの導入によるncRNAの不安定化誘導の条件検討を行った。またTALE/CRISPR-Cas9システムを用いてX染色体の不活性化を制御するncRNAの探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度においては計画にあった1) ハイスループット&ハイコンテンツ顕微鏡の顕微鏡観察技術の確立、2) 遺伝子編集技術のncRNA機能解析への最適化の研究について下記にまとめたように一定の成果を挙げることができた。 1、ハイスループット&ハイコンテンツ顕微鏡の顕微鏡観察技術の確立 開発を進めていたハイコンテンツ顕微鏡を用いてGFPタグ遺伝子ライブラリーの中からRNA関連タンパク質を抽出し、各タンパク質の炎症刺激下における細胞内挙動について解析を行った。解析の結果、いくつかのRNA関連タンパク質が炎症刺激下における細胞内挙動を変化させ、細胞内で構造体を取ることが確認された。今後この構造体についてRNA依存性があるか詳細な解析を進める。 2、遺伝子編集技術のncRNA機能解析への最適化 培養細胞やマウス受精卵に対してCRISPR-Cas9システムを用いてncRNA配列中にpolyA配列などの導入によるncRNAの不安定化誘導の条件検討を行った。特にssDNAを用いたノックイン技術を確立し、効率よくノックイン細胞およびマウス作製を行うことが可能になった。また新たに作成したTALEライブラリーを用いて、特異的なクロマチンの濃縮に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)平成26年度に複数のRNA関連タンパク質が炎症刺激下における細胞内挙動を変化させ、細胞内で構造体を取ることが確認された。今後この構造体についてRNA依存性があるか、その構造体内にarcRNAが存在するかなど詳細な解析を進める。また解析から得られたarcRNA群について、廣瀬らと協力して構造体形成に必要な作動エレメントを同定し、共通の配列もしくは二次構造モチーフが有るかどうか探索する。それらが同定された場合、二次構造予測に基づいたarcRNAタクソノミの拡張も試みる (2)平成26年度に作製したTALEライブラリーを用い、Hox遺伝子の制御領域、ゲノム刷り込みの制御領域、ヘテロクロマチンを形成するレトロトランスポゾン配列の複合体を精製し、そこに新規クロマチン関連ncRNAが含まれていないか検討を行う。 (3)その他の計画研究で同定された作動エレメントや作動装置の構成成分について、遺伝子改変技術を用いて迅速に変異体を作製し、その生理機能解析を行う。
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