計画研究
ハイコンテンツ顕微鏡システム、遺伝子ライブラリー、ゲノム編集技術などの新しい技術、戦略を開発・導入し、これらシステムを領域内で共有することで既知ncRNAタクソンの拡張、さらにはそれぞれのncRNAタクソンが作る複合体の同定と挙動の解析、さらには新規ncRNAタクソンの探索を目指す。また、最近注目を浴びているゲノム編集技術であるをncRNAの機能解析用に最適化し、新規に同定されたncRNAの機能を細胞・個体レベルで高速に遺伝学的に解析する手法を開発し、領域内で広く共有する事で、ncRNAネオタクソノミ研究を飛躍的に加速させる。具体的には、計画に従って、以下の4テーマにおいて研究を推進しており、成果を得つつある。(1)ハイコンテンツ顕微鏡の顕微鏡観察技術の確立においては、複数の新規タンパク質が刺激下における細胞内挙動を変化させ、細胞内で構造体を取ることを見出しており、RNAと構造体が持つ生理的機能について検討を行っている。(2) 遺伝子編集技術のncRNA機能解析への最適化については、CRISPR-Cas9システムを用いてmiRNAの欠損やncRNA配列中にpolyA配列などの導入によるncRNAの不安定化誘導を行った。 (3) miRNAターゲット解析においては、全長cDNA(ヒト)5000種が組み込まれているルシフェラーゼレポーターライブラリーを活用し、乳がん発症に関与するmiRNAや軟骨恒常性に関与するmiRNAの新規ターゲット遺伝子の解析を行った。(4) ncRNAを利用した治療戦略においてはmiRNAを用いた関節炎の治療手法の開発を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
全長cDNA(ヒト)5000種が組み込まれているルシフェラーゼレポーターライブラリー、マイクロアレイやデータベースを相補的に活用し、乳がん発症に関与するmiR-34aや軟骨恒常性に関与するmiR-455の新規ターゲット遺伝子の解析を行った。既存のマイクロアレイやデータベースによる解析に加え、独自に開発したルシフェラーゼレポーターライブラリーを相補的に活用することでmiR-34a では3つ遺伝子が、miR-455では1つの遺伝子が新規のターゲットであることを示唆することができ、これら手法がmiRNAのターゲット探索における研究戦略としての有用性を示すことができた。
1、ハイコンテンツ顕微鏡の顕微鏡観察技術の確立:ハイコンテンツ顕微鏡システムを用いてGFPタグ遺伝子ライブラリーの中からRNA関連タンパク質(1200種)やプリオンライクファミリータンパク質(60種)を抽出し、各タンパク質の炎症刺激下・ヒートショック刺激下における細胞内挙動について解析を行う。解析の結果、複数の新規タンパク質が刺激下における細胞内挙動を変化させ、細胞内で構造体を取ることが確認する。この構造体についてRNA依存性の有無と構造体が持つ生理的機能について詳細な解析を進める。2、遺伝子編集技術のncRNA機能解析への最適化:培養細胞やマウス受精卵に対してCRISPR-Cas9システムを用いてmiRNAの欠損やncRNA配列中にpolyA配列などの導入によるncRNAの不安定化誘導の検討を行う。特にssDNAを用いたノックイン技術を確立し、効率よくノックイン細胞およびマウス作製を行うことで、ncRNAの個体レベルでの解析を進める。3、miRNAターゲット解析:全長cDNA(ヒト)5000種が組み込まれているルシフェラーゼレポーターライブラリー、マイクロアレイやデータベースを相補的に活用し、乳がん発症に関与するmiRNAや軟骨恒常性に関与するmiRNAの新規ターゲット遺伝子の解析を行う。4、ncRNAを利用した治療戦略miR-455ノックアウトマウスの解析からmiR-455が軟骨の恒常性維持に必須であることを証明する。miRNAを用いた変形性関節症(OA)の治療を目指し、関節への核酸導入法の検討を行う。蛍光ラベル前駆体miRNAを用いて膝靭帯切断による変形性関節症モデルマウスの関節への導入の最適化を行い、miRNA mimicを用いて変形性関節症モデルでの治療奏効について解析する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (9件) 学会発表 (23件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)
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