研究領域 | ノンコーディングRNAネオタクソノミ |
研究課題/領域番号 |
26113008
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
淺原 弘嗣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70294460)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | ノンコーディングRNA / マイクロRNA / 関節炎 / 遺伝子編集 / 細胞内構造体 |
研究実績の概要 |
ハイコンテンツ顕微鏡システム、遺伝子ライブラリー、ゲノム編集技術などの新しい技術、戦略を開発・導入し、これらシステムを領域内で共有することで既知ncRNAタクソンの拡張、さらにはそれぞれのncRNAタクソンが作る複合体の同定と挙動の解析、さらには新規ncRNAタクソンの探索を目指す。また、最近注目を浴びているゲノム編集技術であるをncRNAの機能解析用に最適化し、新規に同定されたncRNAの機能を細胞・個体レベルで高速に遺伝学的に解析する手法を開発し、領域内で広く共有する事で、ncRNAネオタクソノミ研究を飛躍的に加速させる。具体的には、計画に従って、以下の4テーマにおいて研究を推進しており、成果を得つつある。(1)ハイコンテンツ顕微鏡の顕微鏡観察技術の確立においては、複数の新規タンパク質が刺激下における細胞内挙動を変化させ、細胞内で構造体を取ることを見出しており、RNAと構造体が持つ生理的機能について検討を行っている。(2) 遺伝子編集技術のncRNA機能解析への最適化については、CRISPR-Cas9システムを用いてmiRNAの欠損やncRNA配列中にpolyA配列などの導入によるncRNAの不安定化誘導を行った。 (3) miRNAターゲット解析においては、全長cDNA(ヒト)5000種が組み込まれているルシフェラーゼレポーターライブラリーを活用し、乳がん発症に関与するmiRNAや軟骨恒常性に関与するmiRNAの新規ターゲット遺伝子の解析を行った。(4) ncRNAを利用した治療戦略においてはmiRNAを用いた関節炎の治療手法の開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
全長cDNA(ヒト)5000種が組み込まれているルシフェラーゼレポーターライブラリー、マイクロアレイやデータベースを相補的に活用し、乳がん発症に関与するmiR-34aや軟骨恒常性に関与するmiR-455の新規ターゲット遺伝子の解析を行った。既存のマイクロアレイやデータベースによる解析に加え、独自に開発したルシフェラーゼレポーターライブラリーを相補的に活用することでmiR-34a では3つ遺伝子が、miR-455では1つの遺伝子が新規のターゲットであることを示唆することができ、これら手法がmiRNAのターゲット探索における研究戦略としての有用性を示すことができた。さらに、マイクロRNAのノックアウトマウスの解析および治療法応用において解析を進め、情報を集積した。
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今後の研究の推進方策 |
1、ハイコンテンツ顕微鏡の顕微鏡観察技術によるncRNA分類(継続) 昨年度に引き続き、ハイコンテンツ顕微鏡システムを用いて炎症刺激下・ヒートショック刺激下における細胞内挙動について、刺激下におけるRNA依存性の構造体が持つ生理的機能について詳細な解析を進める。 2、miRNAターゲット解析(継続) 全長cDNA(ヒト)5000種が組み込まれているルシフェラーゼレポーターライブラリー、マイクロアレイやデータベースを相補的に活用し、昨年度までの、乳がん発症に関与するmiR-34aの成果を基に、更に、軟骨恒常性に関与するmiR-455やRNA結合タンパクの新規ターゲット遺伝子の解析を行う。 3、ncRNAを利用した治療戦略(継続) 昨年度に引き続き、miR-455ノックアウトマウスの解析からmiR-455が軟骨の恒常性維持に必須であることを証明する。miR-455を用いた変形性関節症(OA)の治療を目指し、関節への核酸導入法の検討を行う。蛍光ラベル前駆体miRNAを用いて膝靭帯切断による変形性関節症モデルマウスの関節への導入の最適化を行い、miR-455 mimicを用いて変形性関節症モデルでの治療奏効について解析する。 4、炎症におけるncRNAの解析 炎症時に発現するncRNAを同定、この機能をノックアウトマウスを用いた個体レベルでの機能解析も含め進めることで、ncRNAによる炎症制御機構の新たな分子機構を探る。
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