計画研究
Wnt駆動性の細胞競合を研究する過程で新たな細胞品質管理システム「モルフォゲン勾配ノイズキャンセリング」を発見した。このシステムは、初期胚に生じたシグナル異常細胞をWntシグナル勾配を介して感知し、細胞競合により取り除く、初期胚の質を高めるシステムである。本年度は、このシステムのさらなる詳細な解析を進め、最終的な異常細胞の除去の際にBcl2の抑制が関与することを突き止めた。現在、ノイズキャンセリングシステムについての論文の改訂を行っており、2019年度前半の受理を目指している。さらに、我々は、このシステムが初期胚だけでなく、成体組織の細胞品質管理にも関わっているかを検討しており、現在までに神経管のパターン維持に寄与することを突き止めた。また、我々は、Srcがん原遺伝子産物の異常な活性化による細胞競合現象の分子メカニズムの解明を進めてきた。本年度の研究において、TypeI型MDCK細胞ではSrc活性化細胞がbasal側に浸潤するのに対して、TypeII型MDCK細胞ではapical側に排除されることを見出し、それらの作用機序の違いを解析した。その結果、TypeI型では活性化Srcが効率よく脂質ラフトに集積するのに対して、TypeII型ではその効率が低下していることが観察された。また、TypeI型においてSrcのラフト局在を阻害するとapical側に排除されること、TypeII型においてSrcを強制的にラフトに誘導するとbasalへの浸潤能が高まることが認められた。以上の結果から、膜構造など細胞の状態の違いや細胞の置かれる環境に応じて細胞競合現象の表現型が変化する可能性が示唆された。現在、さらにその分子機序の解析を進めている。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (40件) (うち国際学会 6件、 招待講演 9件)
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