研究領域 | ステムセルエイジングから解明する疾患原理 |
研究課題/領域番号 |
26115005
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研究機関 | 独立行政法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
田久保 圭誉 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (50502788)
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研究分担者 |
大谷 直子 東京理科大学, 理工学部, 教授 (50275195)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 造血幹細胞 / ニッチ / 老化 / 感染応答 |
研究実績の概要 |
体性幹細胞は、ニッチと呼ばれる微小環境によって維持されることで自己複製能と多分化能を維持する。ニッチは細胞成分であるニッチ細胞と、各種のサイトカインや接着分子、酸素分圧などのニッチ因子によって構成される。加齢によってニッチの機能やニッチ因子の発現異常が起こり、幹細胞支持能が低下して幹細胞システムに異常が発生すると考えられているが、そのメカニズムは不明である。哺乳類成体の造血の場である骨髄は、多種多様な細胞が混在する複雑な組織であり、複数のニッチ細胞を介して造血幹細胞が若年時から加齢時まで維持されテイクと考えられている。造血システムは体性幹細胞の解析モデル系として最良のもののひとつであることから、本研究計画ではこれらの解析を行う。本年度はまず、造血幹細胞とニッチ細胞のバルクでのトランスクリプトーム解析を行い、幹細胞とニッチそれぞれの加齢変化特異的なトランスクリプトの変動を同定した。また、FACS解析によって幹細胞とニッチそれぞれの集団の変動を検討・同定した。さらに、他の計画班員との共同で環状ジヌクレオチドであるbis-(3′-5′)-cyclic dimeric guanosine monophosphate (c-di-GMP)がアダプター分子STINGを介して造血幹・前駆細胞全体の増殖および骨髄外への遊走を促す一方、最も未分化な長期造血幹細胞の数および骨髄再構築能を低下させることを見出した。また、c-di-GMPは造血幹細胞ニッチに対して作用し骨髄の間葉系幹細胞の細胞数およびKitリガンド、CXCL12などのニッチ因子の発現を低下させることも見出した。すなわち、c-di-GMPが感染や炎症にさらされながら加齢していく骨髄ニッチにおける造血幹・前駆細胞の新たな制御因子となりうることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属機関異動に伴う動物コロニーの再構築には時間がかかっているが、全体的には当初予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
所属機関異動に伴う動物コロニーの再構築に時間がかかったため、次年度は加齢動物に関しては領域内の共同研究も利用して研究進捗に遅滞が無いよう注意しながら進める。
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