腸管上皮は体内で最も増殖の速い組織であり,その新陳代謝は陰窩底部にある幹細胞が担っている.細胞増殖に際して一定頻度のゲノム変異が生じるが,腸管上皮細胞に加齢とともにゲノム変異がどの程度蓄積するかはわかっていない. 佐藤らは,ヒト腸管上皮幹細胞のオルガノイド培養を用い,正常および疾患組織において,腸管上皮幹細胞が加齢とともにどの程度蓄積し,疾患形質に結びつくかを検討した.その結果,腸管上皮幹細胞は1細胞当たりおよそ40変異/年の速度で蓄積し,発がん関連遺伝子変異の原因となることが示唆された.また,潰瘍性大腸炎による炎症によって変異速度が加速し,炎症に対する耐性に関与することを見出した.
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