計画研究
組織幹細胞維持における血管のニッチ細胞としての重要性は、骨髄や筋、神経組織などをはじめとして様々な臓器・組織において明らかにされつつある。しかしながら、血管ニッチのエイジングの詳細や、それが幹細胞に与えるインパクトについてはほとんど解析されていない。そこで本研究では、骨格筋、心筋組織、骨髄を主要な解析対象とし、加齢をはじめとする老化促進ストレスによる血管ニッチの形質変化を、ステムセルエイジングとの関連において検証する。まず、加齢や病的老化を促進するストレス(放射線障害や過栄養など)による血管ニッチ細胞の機能的変化を詳細に観察するとともに、トランスクリプトームやメタボローム解析、質量分析顕微鏡により解析を行う。また、Cre-loxPシステムを用いて、血管特異的にp53を活性化可能なマウスモデルを確立し、p53依存性細胞老化シグナルの活性化に伴う血管ニッチの形質変化が、どのように組織幹細胞の動態や機能に影響を及ぼし、臓器機能障害を引き起こすのかについて検証する。さらに、加齢マウスや早老マウスモデル、放射線障害や過栄養ストレスを負荷したマウスにおいて、血管特異的にp53を欠損させることにより、血管ニッチを介した組織幹細胞のエイジングと疾患発症におけるp53の関与を検証する。これらのモデルの比較検討を通して、血管ニッチにおけるp53老化シグナルの責任標的分子の同定も試みる。平成26年度には、血管特異的にp53活性を制御できるマウスモデルを作製し、その表現系について解析した。その結果、血管内皮細胞のp53活性化は、内皮由来のNO産生の低下を誘導することによって骨格筋のミトコンドリア生合成の低下をもたらし、全身のエネルギー代謝に影響を及ぼすことが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
血管特異的にp53活性を制御できるマウスモデルを作製し、その表現系について新たな知見が得られたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
今後は、p53依存性細胞老化シグナルの活性化に伴う血管ニッチの形質変化が、どのように組織幹細胞の動態や機能に影響を及ぼし、臓器機能障害を引き起こすのかについて検証する。さらに、加齢マウスや早老マウスモデル、放射線障害や過栄養ストレスを負荷したマウスにおいて、血管特異的にp53を欠損させることにより、血管ニッチを介した組織幹細胞のエイジングと疾患発症におけるp53の関与を検証する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (18件) (うち査読あり 18件、 オープンアクセス 18件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 8件) 図書 (5件)
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