現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究代表者は2005年以降、一貫して翻訳伸長(タンパク質の合成途中)段階での異常を認識する品質管理機構を一貫して解析して来た。1)終止コドンを持たない異常mRNAでは3’末端のpoly(A)鎖まで翻訳が進行する結果、ポリリジン鎖が合成され、この連続した塩基性アミノ酸配列が翻訳伸長阻害とタンパク質の分解を引き起こすことを明らかにした(EMBO J., 2005; Genes Dev., 2007; JBC, 2009; EMBO Rep., 2010)。この発見を契機に、複数の欧米の有力研究室が翻訳伸長阻害に起因する品質管理機構の解析を開始し、分子機構の解明が急速に進んだ(Nature, 2010; Cell 2012; Mol. Cell, 2012; Mol. Cell, 2014; Science 2015)。現在では、翻訳伸長途中で停滞した80Sリボソームは、各サブユニットに解離し、60Sサブユニット上の新生ポリペプチド鎖(peptidyl-tRNA)がE3ユビキチンライゲースであるListerinによってユビキチン化された後にプロテアソームによって迅速に分解される分子機構が明らかになっている。本計画研究において研究代表者は、停滞した80Sリボソームに結合するE3ユビキチンライゲースであるRQT1によるリボソーム上の標的因子のユビキチン化が必須であることを見出した(論文投稿中)。この知見は世界初であり、翻訳伸長複合体の運命決定機構を解明のみでなく、ユビキチン化の全く新規な機能を解明した点でも特筆すべき研究成果である。
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