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2014 年度 実績報告書

mRNAの局在化に働く新生鎖の機能解析

計画研究

研究領域新生鎖の生物学
研究課題/領域番号 26116006
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

河野 憲二  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (50142005)

研究期間 (年度) 2014-07-10 – 2019-03-31
キーワード翻訳停止 / mRNAの局在化 / 小胞体ストレス応答 / リボソーム
研究実績の概要

1. 翻訳アレストによるXBP1u mRNAの小胞体膜への標的化機構の解明
XBP1u蛋白質のN末側にFlagの配列を付加したFlag-XBP1uをHEK293細胞に発現し,抗Flag抗体による免疫沈降実験,さらに質量分析を行ったところ、シグナル認識粒子(SRP)の成分であるSRP54,SRP72,また、トランスロコンの成分であるSec61などが共沈降してきた。このことは、XBP1uが分泌経路を利用して小胞体膜に運ばれていることを示している。XBP1uは翻訳の一過的停止を起こし、S255A変異(XBP1u(S255A))はさらに強固な翻訳停止を、一方W256A変異(XBP1u(W256A))は翻訳停止を起こさないことを既に報告している。そこでこれらの変異型XBP1uを用いて更なる検討を行った。野生型及び変異型のXBP1uを細胞に発現し,XBP1uで共沈降すると、翻訳停止の強さに比例してSRP54, Sec61を沈降するが、XBP1u(W256A)では両蛋白質との結合がみられないことが明らかとなった。このことは、翻訳の停止に依存して分泌経路を利用していることを示唆している。次年度は,SRPを殆ど含まない小麦胚芽抽出液(WGE)を用いた無細胞蛋白質合成系に膜画分を加え、精製したSRP添加に依存してXBP1uが膜画分に運ばれることを証明する計画である。
2. 翻訳アレストの分子機構の解析
S255A変異は翻訳アレストが増強しているので、このアミノ酸を他の18のアミノ酸すべてに変換して,翻訳アレストの強さを比較したところ、S255A>S(野生型)=S255G>>他の17アミノ酸 という結果になり、側鎖の小さいアミノ酸が翻訳停止を起こす傾向が認められた。調べた限りでは、255番目のアミノ酸変異だけが、翻訳停止活性を増強するので、その理由について検討を加える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

XBP1u mRNAがXBP1uの翻訳停止に依存して,小胞体膜上に移動する可能性をサポートするデータを得ることができ、本年度の計画通り順調に進展している。

今後の研究の推進方策

1. 翻訳アレストによるXBP1u mRNAの小胞体膜への標的化機構の解明
SRPを殆ど含まない小麦胚芽抽出液(WGE)を用いた無細胞蛋白質合成系に膜画分を加え、精製したSRP添加に依存してXBP1uが膜画分に運ばれることを証明する。 小胞体ターゲティングシグナルをもつHR2領域を欠失したXBP1u(dHR2)ではXBP1u mRNAを小胞体膜上に運ぶ効率が落ちること、またXBP1u mRNAの特殊スプライシング効率が落ちることを明らかにする。
2. 翻訳アレストの分子機構の解析
①生化学的アプローチ: HR2領域が相互作用する分子を光架橋や共免疫沈降により取得し,質量分析などの方法によりそれらの分子を同定する。
②遺伝学的アプローチ: ヒト由来のハプロイド細胞(KBM7細胞にスクリーニング用のレポーター遺伝子を発現させた安定発現細胞を取得後、gene-trap mutagenesisによる遺伝子ノックアウトスクリーニングにより翻訳アレストが解除された細胞を選択し、その遺伝子を同定することを目的とする。スクリーニング系の確立を引き続き目指す。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Tight regulation of the unfolded 1 protein sensor Ire1 by its intramolecularly antagonizing subdomain.2015

    • 著者名/発表者名
      Mathuranyanon, R., Tsukamoto, T., Takeuchi, A., Ishiwata-Kimata, Y., Tuchiya, Y., Kohno, K., and Kimata, Y
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 小胞体ストレスと炎症性腸疾患2014

    • 著者名/発表者名
      都留 秋雄
    • 雑誌名

      実験医学

      巻: 32 ページ: 2221-2225

  • [学会発表] 小胞体ストレス応答機能障害による糖尿病の発症機序2015

    • 著者名/発表者名
      河野 憲二
    • 学会等名
      日本薬学会第135回年会
    • 発表場所
      兵庫医療大学(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-03-25 – 2015-03-28
    • 招待講演
  • [学会発表] Efficient targeting of translation-paused XBP1u to the ER in unfolded protein response.2015

    • 著者名/発表者名
      Kenji Kohno
    • 学会等名
      九州大学国際シンポジウム
    • 発表場所
      九州大学 Centennial Hall(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2015-03-16 – 2015-03-17
    • 招待講演
  • [学会発表] Analysis of translational dynamics of XBP1 mRNA2015

    • 著者名/発表者名
      河野 未来
    • 学会等名
      「新生鎖の生物学」総括班主催 第一回若手ワークショップ
    • 発表場所
      八王子セミナーハウス(東京都八王子市)
    • 年月日
      2015-03-08 – 2015-03-10
  • [学会発表] XBP1u 新生鎖の翻訳停止後にたどる運命2015

    • 著者名/発表者名
      曽川 愛守榮
    • 学会等名
      「新生鎖の生物学」総括班主催 第一回若手ワークショップ
    • 発表場所
      八王子セミナーハウス(東京都八王子市)
    • 年月日
      2015-03-08 – 2015-03-10
  • [学会発表] XBP1u タンパク質の翻訳停止機構の解析2015

    • 著者名/発表者名
      大古殿 美加
    • 学会等名
      「新生鎖の生物学」総括班主催 第一回若手ワークショップ
    • 発表場所
      八王子セミナーハウス(東京都八王子市)
    • 年月日
      2015-03-08 – 2015-03-10
  • [学会発表] 小胞体ストレス応答不全による糖尿病発症機構の解明2014

    • 著者名/発表者名
      斉藤 美知子
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] Novel role of SRP pathway on XBP1u localization and ER homeostasis.2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Kanda, Kota Yanagintani,, Yukiko Yokota, Yuta Esaki, Kenji Kohno
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] Analysis of translational dynamics of XBP1 mRNA2014

    • 著者名/発表者名
      Mirai Kono
    • 学会等名
      第37回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
    • 年月日
      2014-11-25 – 2014-11-27
  • [学会発表] Novel role of SRP pathway on XBP1u localization and ER homeostasis.2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Kanda
    • 学会等名
      EMBO conference Series: The endoplasmic reticulum (ER) as a hub for organelle communication
    • 発表場所
      Hotel Melia Golf Vichy Catalan (Girona, Spain)
    • 年月日
      2014-10-26 – 2014-10-31
  • [学会発表] Unfolded Protein Response(UPR)における翻訳ポージングの重要性2014

    • 著者名/発表者名
      河野 憲二
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      国立京都国際会館(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-17
    • 招待講演
  • [学会発表] SRP経路によるXBP1u mRNAの小胞体局在化機構2014

    • 著者名/発表者名
      苅田 聡
    • 学会等名
      2014年度日本農芸化学関西支部大会
    • 発表場所
      奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)
    • 年月日
      2014-09-21
  • [学会発表] 異なる翻訳停止における新生ポリペプチド鎖の比較2014

    • 著者名/発表者名
      曽川 愛守榮
    • 学会等名
      2014年度日本農芸化学関西支部大会
    • 発表場所
      奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)
    • 年月日
      2014-09-21
  • [学会発表] XBP1uにおける翻訳停止の分子機構2014

    • 著者名/発表者名
      大古殿 美加
    • 学会等名
      2014年度日本農芸化学関西支部大会
    • 発表場所
      奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市)
    • 年月日
      2014-09-21
  • [図書] Regulatory Nascent Polypeptides2014

    • 著者名/発表者名
      Yanagitani, K. and Kohno, K.
    • 総ページ数
      315 (291-310)
    • 出版者
      Springer
  • [備考] 動物細胞工学(河野研究室)

    • URL

      http://bsw3.naist.jp/courses/courses207.html

  • [備考] Laboratories: Molecular and Cell Genetics

    • URL

      http://bsw3.naist.jp/eng/courses/courses207.html

  • [備考] 動物細胞工学研究室

    • URL

      http://bsw3.naist.jp/kouno/kouno.html

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公開日: 2016-06-01  

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