計画研究
平成30年度は、同義コドン置換導入法により翻訳速度を変動させた種々の改変型ペルオキシソーム局在性テイルアンカー型膜タンパク質(TA) モデルを用いて、軽度の翻訳遅延がTA新生鎖のペルオキシソームへの局在化効率に関与する結果を得た。また、前年度までに同定したペルオキシソーム局在性TAと結合するサイトゾルタンパク質因子に関して、これが新生鎖TAのペルオキシソーム輸送過程での品質管理に関与することを見出し、さらに追究している。また、ペルオキシソームと小胞体に両局在性のN末アンカー型I型膜タンパク質であるプラスマローゲン(Pls)生合成経路第3段階触媒酵素DHRS7Bに関し、その両局在化機構をほぼ明らかにした。Plsの合成障害マウスの小脳では、Pls生合成律速酵素Far1 (TA)のタンパク質レベルの増加とともに、コレステロールの生合成抑制によるミエリン形成の障害を見出し病態発症機構として捉えた (改訂論文投稿中)。また関連した成果として、遺伝性の聴覚障害患者の全エクソームシーケンス解析により、病因遺伝子変異としてペルオキシソーム局在性TAであるPex26pのF51L変異を同定した。これまでに報告されている重篤なペルオキシソーム欠損症とは全く異なる病態として、この症例ではPex26pのF51L変異に起因するペルオキシソームタンパク質の膜透過輸送装置複合体の主要構成因子Pex14pとの結合能の低下が、ペルオキシソームタンパク質輸送の輸送効率低下をもたらすことが、聴覚低下・損失の病因となることを見出し、国際誌Cold Spring Harb. Mol. Case Stud.に公表した。さらにStanford大学Bassik研究室との共同研究で、過酸化水素分解酵素カタラーゼのサイトゾルへの局在化が酸化ストレスに対抗する細胞応答として機能することを明らかにした (論文投稿中)。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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