計画研究
本研究班では、脳タンパク質老化の進展メカニズムの解明と精神・神経変性疾患の治療を最終目標として、生体脳イメージング技術を駆使した治療評価系の開発を目指している。昨年度に引き続き本年度は、タウ病変と脳萎縮を加齢依存的に呈する動物モデルであるrTg4510マウスを用いてPET、MRI、二光子顕微鏡などのマルチモーダルイメージング技術による創薬プラットフォームを構築し、その有用性を評価した。特に、二光子顕微鏡を用いた蛍光イメージングによる1細胞レベルの観察結果から、数週間でのPBB3陽性細胞の産生・消失ターンオーバーが存在し、そのターンオーバー速度から治療効果を判定できることが分かった。数週間で評価できる治療判定システムとしての活用が期待できる。一方で、家族性前頭側頭葉変性症患者由来のiPS細胞を用いた研究成果として、タウの遺伝子変異を有する細胞ではカルシウムの流入、タウオリゴマーの放出が促進されることが明らかとなり、ゲノム編集によるタウ遺伝子の修復で正常状態に戻ることも確認された。本細胞モデルも治療評価系として活用されうる。また、イメージングバイオマーカー開発を継続して進めており、特定の低分子化合物がタウ凝集体と結合することを各種2次元核磁気共鳴装置(NMR)により帰属を完了し、タンパク質構造化学的な特性解析の有用性が確認された。将来的にはタウオリゴマーの検出に向けたリガンド開発が期待される。
2: おおむね順調に進展している
順調に進んでいる。
昨年度に引き続き、脳タンパク質老化を標的としたバイオマーカーの開発、神経変性メカニズムの解明を目指した研究、霊長類モデルの病態解析、治療開発研究を進めていく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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