計画研究
本プロジェクトでは、人と動物間の社会的シグナルの動態を、よりフィールドに近い自然な状況で計測する技術を確立し、人と動物との相互行為とその学習を、心理実験やモデル化を通じてあきらかにする事を目的とする。より具体的には、馬や犬など人が家畜化し伴侶動物として用いている動物と飼い主との間で交わされる、コマンドとその反応や、訓練状況における社会的シグナルを、モーションキャプチャや視線計測装置、心拍計などをもちいて、それぞれ定量的に計測することで、自然な状態での相互行為の動態を明らかにする。また、人に遺伝的に近いサルとの視線や指刺し訓練を行い、ヒト同士で重要である共同注意の認知メカニズムについて検討する。本年度の実績は具体的には、1) 人=馬インタラクション研究において、調馬策実験課題を開発し、その課題における音声指示と動作との間の関係を記述することに成功した。とくに、教師無し学習手法による、加速度から馬の歩様の変化を時間的正確に分離する機械学習手法を確立し、学会発表した。2)人=馬インタラクションにおいて、人からの社会的シグナルであるsocial touch の強化力を評価しする実験を行い、その結果を論文として発表した。3)人=馬インタラクションにおいて、人の注意状態に応じて馬の要求行動が変化することを実験的に明らかにし、論文として発表した。4)馬が人の情動表出の認知を行うかどうかや、個人によってそれらが変化擦るかどうかを調べるための実験セットアップを整備し、いくつかのプレリミナリーな結果を得た。3)サルと人の間の社会的シグナルに関する実験を開始し、サルの指刺し行動が、人の存在の有無で大きく変化する事を示した。
2: おおむね順調に進展している
人=馬間のインタラクション実験および、その解析技術の向上によって、データ取得と分析が可能となり、本年度は具体的なデータ取得とその解析によって人と馬との一定の社会手的シグナル測定と分析が可能となった。それにより調馬策実験によってその学習過程のデータ取得を行うことができた。また、人=サルインタラクションについても、指刺し実験環境が整い1頭目の訓練と行動データの取得を行うことができた。人=イヌ実験については、盲導犬での実験が困難であるため、一部遅れているが、次年度に保護犬をつかって麻布大学において実験する環境を整えることができた。おおむね、順調にそれぞれのインタラクションの実験研究を進展させることができた。
これまでの研究によって得られた、機械学習による動物行動分類手法や、これまでに開発した動物からの社会的シグナル(指刺し等)の実験を発展させると同時に、これらの実験を統一的に理解する認知モデル研究に着手する。具体的には1)機械学習による馬の歩様の正確な検出によって、人の指示との間の時間的関係をより定量的に明らかにする実験の実施。2)盲導犬による実験環境の制約があるため、麻布大学にて保護犬を使った実験環境へ移行し、人になれていない状態の保護犬と、人とのインタラクションを経た後の保護犬の行動を計測する実験の実施3)サルの行動と人の行動を定量分析するためにビデオ解析を進め、発話とサルの行動との間の関係を明らかにする解析の実施を行う。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件)
心理学評論
巻: 59 ページ: 46-56
10.24602/sjpr.59.1_46
巻: 59 ページ: 39-45
10.24602/sjpr.59.1_39
Pschologia
巻: 59 ページ: 91-99
10.2117/psysoc.2016.91
Psychologia
巻: 59 ページ: 100-111
10.2117/psysoc.2016.100