研究領域 | 認知的インタラクションデザイン学:意思疎通のモデル論的理解と人工物設計への応用 |
研究課題/領域番号 |
26118004
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
鮫島 和行 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (30395131)
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研究分担者 |
澤 幸祐 専修大学, 人間科学部, 教授 (60407682)
瀧本 彩加 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (40726832)
村井 千寿子 精華女子短期大学, その他部局等, 講師 (90536830)
永澤 美保 麻布大学, 獣医学部, その他 (70533082)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 動物 / 行動学 / 認知科学 / 実験心理学 / モデル化 |
研究実績の概要 |
人と動物間の社会的シグナルの動態を、自然な状況で計測する技術を確立し、人と動物との相互行為とその学習を、心理実験やモデル化を通じてあきらかにする事を目的とする。
これまでの研究実績をうけて、本年度の実績は具体的には、1)人=馬インタラクション研究において、調馬策実験課題おける音声指示と動作との間の関係を記述し、人の音声に応じて馬の行動変化までの時間の変化が、馬をどれだけ指示通り動かすことができたか、という「人馬一体間」の主観評定と比較し、人馬一体感に2つの種類が存在することを明らかにした。人=馬インタラクションの実験結果からの知見を応用した車両制御に関するアイデアを特許として共同で出願した。2)人どうしのコミュニケーションにおいて、自然な他者認知の指標としてもちいられている「あくびの伝染」が人=馬間で存在するかどうかの実験を行い、あくびの伝染が人=馬間でも存在する事を示した。3)人=サルインタラクション研究において、人がサルの行動を学習させる訓練において、訓練されるサルの行動だけでなく、人の行動も変化している事を示し、相互学習が人=サル間で起きていることを示唆した。4)人=サルインタラクション研究において、social reward としてのsocial-touchが指刺しかだいにおいての問題行動を減らすことを示した。5)人=イヌインターラクション研究において、保護犬と人との同期動作や視線、および人の指刺し行動の情報が、馴化前後で異なることをプレリミナリーな結果として示すことに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人=馬インタラクションでは、心理学の質的研究手法をもちいて「人馬一体感」に関する仮説の提出と、その仮説を検証する実験が進行中であり、一定程度のデータの蓄積をえた。また、この過程でえられた仮説を、人工物に応用する特許として、自動運転車の制御へ応用する方法を特許として出願している。人=イヌインタラクションでも、保護犬や、半野犬での研究がスタートし、視線や動作、指刺し行動に対するイヌの反応などのデータの蓄積もある。同期動作については、検討中ではあるが、今後実験し、同期動作と人―イヌ間の社会的シグナルの関係についての研究に着手している。人=サル研究では、発話音声とサルの学習動作の間での詳細な解析が進み、相互学習を示唆する研究に発展している。
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今後の研究の推進方策 |
人=馬研究では、「人馬一体感」とは何か、を経験者から聞き取り、その認知メカニズムについての仮説の提出および、その認知モデルについての研究に着手する。この認知モデルは、人=動物研究ばかりでなく人=人工物への応用の第一歩となる。そのために、人=人工物インタラクション研究班との共同研究や、企業との共同研究に発展させる。 また、人=イヌインタラクション研究では、これまで、モーションキャプチャーを使った動作研究もおこなってきているが、一部解析が遅れている部分がある。今後、ビデオベースの方法や、加速度計を用いた簡便な方法を用いた解析を導入して、人=イヌ研究を加速する。 人=サルインタラクション研究では、指刺し行動の発現や、人との関係性の変化による研究に着手する。視線の制御に関して、よりコントロールされた刺激を導入するなど、再現性の高い方法での実験を行うと同時に、電気生理やECoG等の脳の情報をつかって、他者の認知のモデルについて検討を行う予定である。
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