研究領域 | 脳内身体表現の変容機構の理解と制御 |
研究課題/領域番号 |
26120005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
淺間 一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50184156)
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研究分担者 |
田中 宏和 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (00332320)
井澤 淳 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20582349)
近藤 敏之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60323820)
矢野 史朗 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90636789)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | 運動主体感 / 身体所有感 / リハビリテーション / 身体図式 / 脳内身体表現 |
研究実績の概要 |
身体を欠損した人や脳卒中などにより片麻痺になると人は自身の身体を意図通りに動かすことができず主体感が低下したり,自分の身体に対する所有感が低下する.これらの人に対してリハビリテーションを行うことで,再度運動能力を獲得することは非常に重要な課題であるが,上記のような主体感や所有感の低下から臨床現場においてリハビリテーションは十全に行われなかったり,またその効果を測ることは難しかった.これに対して,本年度は脳波を用いて運動主体感を予測,計測することが可能な指標の検証を行った.具体的には,運動主体感を感じやすい状況と感じにくい状況を比較し,脳波の中でも特に運動を行う前に電位が下がるという現象に着目し,運動準備電位の違いによって運動主体感の感じ方に変化が生じることが分かった. また身体麻痺患者や身体欠損者に対しては,実際に運動を行っている映像を見せることで,運動機能が上昇することが知られている.昨年度まではそのような状況では運動目標があることが,より運動主体感を増し,リハビリテーションに効果があることが示唆されてきた.本年度では実際に脳波を用いたブレインマシーンインターフェースを活用し,被験者の運動意図を推定し,被験者の行っている動作を予測することで,意図通りの運動を表示するというシステムの構築を行うことができた.またシステムの利用時にどのように身体部位を見せるのか(身体部位の姿勢)やまた動かす軌道を調べ,運動主体感や身体所有感を高めることができる条件を同定することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本新学術領域の研究では,脳内身体表現の変容メカニズムを解明し,それを実際のリハビリテーションに活用することを目的としている.本年度ではリハビリテーションにおいて重要な要素である運動主体感に着目し,それを客観的に評価することができる指標を抽出することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度では健常若年者において運動主体感の定量的な指標の抽出が行えたが,それに対して実際の患者である身体欠損者や統合失調症患者において実際に活用できるか検証する必要がある.また他班において開発されているリハビリテーション手法において本手法を用いることでリハビリ手法の効果検証を行う.
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