研究領域 | 脳内身体表現の変容機構の理解と制御 |
研究課題/領域番号 |
26120006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
太田 順 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (50233127)
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研究分担者 |
青井 伸也 京都大学, 工学研究科, 講師 (60432366)
千葉 龍介 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80396936)
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研究期間 (年度) |
2014-07-10 – 2019-03-31
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キーワード | モデル化 / システム工学 / 神経科学 |
研究実績の概要 |
・姿勢制御におけるfast dynamicsモデルの構築:ヒトの立位姿勢における脳内身体表現を用いた制御メカニズムの解明を目指し,姿勢制御のfast dynamicsとslow dynamicsのモデル化を行っている.本年度は,ヒトの姿勢制御におけるfast dynamicsを解明するため,移動床面上での姿勢制御実験を行った.膝関節に屈伸を妨げる拘束具の有無による制御の相違を計測,分析した.ここでは、姿勢の制御方法を解析するため被験者の脚・体幹の筋電を計測し,その結果を筋シナジーに基づくモデルとする解析を行った.姿勢制御における筋シナジー制御器のfast dynamicsを分析した.更に,この姿勢制御の妥当性および長期的変容(slow dynamics)を詳細に調査するために筋骨格系シミュレータ上で立位姿勢維持が可能な制御モデルの構築を行った. ・歩行におけるslow dynamicsのモデル化:ヒトやラットの歩行を対象に,運動制御に見られるfast, slow dynamicsによる適応メカニズムの解明を目指して,運動計測に基づくデータ解析,ならびに神経筋骨格系の数理モデルの構築と動力学シミュレーション研究を行っている.本年度は,昨年度までに構築した接地感覚情報に基づく筋シナジーの反射的なタイミング制御(fast dynamics)をモデル化したラット後肢歩行の神経筋骨格モデルを改良し,運動制御におけるslow dynamicsのモデル化を目標とした.生理学的な知見から、歩行中は接地タイミングを予測し、実際のタイミングとの間に違いがあると,それを補償するような運動を取ることが示唆されている.そこで,歩行におけるslow dynamicsのモデルとして,接地タイミングを予測し,実際のタイミングとの誤差に基づいて学習的に筋シナジーの発火タイミングを調整するものを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も初年度に引き続き研究を継続して行い,実験系の継続的構築,解析,解析ツールの継続的開発を行った.これより,fast dynamics,slow dynamicsに関する制御アルゴリズムの考察が可能となった.このように順調に研究が進んでおり,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,fast dynamicsの精緻化,slow dynamicsのモデル構築をおこなう.他研究項目と連携し,実験系構築,データ解析,モデル化,ツール提供を目指す.
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