研究実績の概要 |
姿勢制御と歩行制御に関するfast, slow dynamicsのモデル化を行い、ヒトや動物の実験結果に基づく解析より、モデルの妥当性の検証を行った。更にリハビリテーション方策への応用を指向した研究に着手し、その可能性を示した。 起立姿勢制御においてはA02-2項目との共同研究により前年度までに提案してきた筋緊張制御および感覚フィードバック制御器を用いて、水平方向360°の床面スライド外乱のもと、静的立位姿勢維持タスクを遂行可能であることを示した。ここで活動した筋を観察するとヒトの実験と類似したものであった。これにより提案した制御器が外乱下でも妥当であることを確認した。更に、このモデルを予測シミュレータとすることにより、ankle,hip戦略を発現する支配的なパラメータの探索を行った。その結果、筋力および筋緊張に戦略の変容との相関があることがわかった。また、C03-4項目と共同で障害者の姿勢を評価するシミュレータに用いることを可能とした。歩行モデルにおいては、これまで提案してきた筋シナジーに基づくfast, slow dynamicsモデルの妥当性、力学的役割を検証するために、ラットの後肢左右分離型トレッドミル歩行の計測と解析を実施している。昨年度までに関節運動の計測より、運動学的な対応を確認したが、更に筋電図の計測と解析を実施し、その対応を検証した。また、A02-2項目との共同研究より、ニホンザルの四足歩行と二足歩行で計測した筋電図と対応する補足運動野の神経活動を解析した。歩容にかかわらず筋電図と神経活動で共通した時間パターンを持つことを明らかにするなど、適応的な歩行制御戦略に関する新たな知見を得た。
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